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坂口恭平の家カレー。4種類のスパイスだけで作る本格チキンカレー

食べるだけじゃ物足りず、作ってしまうのだから、カレー愛は半端じゃない。自粛ムード漂う中、著名人の台所をちょっと覗かせてもらいました。本場インドでカレー作りを教わって以来、香水を楽しむようにスパイスを調合し、独自のアレンジを重ねてカレーを作り続けているという坂口恭平。辿り着いたチキンカレーの極意とは⁉

Text: Chisa Nishinoiri, Takagi “JET” Shinichirou , Katsumi Watanabe, Yoko Fujimori / Recipe: Kusako Nitta

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カレーはチキン以外あり得ない
余計な具材はいらない

そういえば昔、自宅で0円でカレーを食べさせる“0円カレー屋”というのをやったことがありました。20歳くらいの時、初めての一人海外旅行でインドに行ったのですが、所持金が底をつき、バナラス・ヒンドゥー大学の学生に救われてしばらく寄宿舎に居候させてもらったことがあったんです。そこで彼が毎日カレーを作ってくれていて。タマネギは生煮えのシャバシャバカレーで、味は正直あまりおいしくなかったけど、作り方だけは覚えて帰ったんです。インドでただでお世話になった恩を僕なりにただで還元しようと思いついたのが、“0円カレー屋”。

ノリで一瞬やっただけだったけど、カレー作りの極意だけはしっかり残っていて、以来、タマネギ、トマト、チキンをベースに僕なりにアレンジしてチキンカレーだけは作り続けているんですが、最近出会ったスパイス番長のレシピがすごい!

4種類のスパイスだけで作る本格チキンカレー。何がすごいかって、タマネギは弱火でじっくりが定石だと思っていたのに、番長は、タマネギは強火で炒める。少々焦げても気にしない!と教えてくれた。番長スタイルでタマネギを炒め、使うスパイスはインド仕込みと自分の好みで辿り着いた、パプリカ、コリアンダー、クミン、カルダモン。そしてチキン。僕にとって、カレーはチキン以外あり得ない。余計な具材はいらない。そしてカレーは中華鍋に限る。じっくり煮込む男カレーじゃなく、中華料理屋のオヤジが、カンカンカンッと中華鍋を振るう、あの感じ。スパイスと、旨い油と鍋肌。以上!

カレー作りはスタジオ録音に似ている気がする。上質な単品の生音を、上質な録音で。いろんなもの入れれば入れるほどダメになる。あとは土鍋で炊いたおいしい白飯があればオッケーです。

あの人の家カレーvol.1:坂口恭平のチキンカレー
チキン、タマネギ、トマトで作るカレー。じっくり寝かさず、食べ切る分だけ作るのが坂口流。

材料(2人分)

鶏もも肉(一口大に切る、250g)

タマネギ(みじん切り、1個分)

トマト(乱切り、1個分)

ショウガ(すりおろし、大さじ1/2)

ニンニク(すりおろし、大さじ1/2)

A[パプリカ(大さじ1)、コリアンダー(大さじ1)、クミン(大さじ1)]

菜種油(大さじ3)

カルダモン(大さじ1)

クローブ(大さじ1)

塩(適量)

チリパウダー(適量)

作り方

1 中華鍋に菜種油を入れ、カルダモン、クローブを入れて中火にかける。

2 香りが立ってきたらタマネギを入れて、強火で豪快に炒める。途中で水少々を加えて乳化させる。

3 タマネギが飴色になったら、ニンニク、ショウガ、トマトを入れて強火で炒める。

4 水分がなくなってきたらAと塩を加えて中火にし、鶏もも肉を加えてさらに炒める。

5 鶏肉に火が入ってきたら、水をひたひたに加え、強火にして煮立たせる。

6 再び中火に落とし、30分ほど煮込んだら完成。好みでチリパウダーを振る。土鍋で炊いたご飯にかけて食べる。

POINT 1 熊本県産

坂口恭平さんの愛用油 地元熊本県〈坂本製油〉の「しらしめ油」
スパイスは上質な油との融合で、より真価を発揮するもの。坂口さんの愛用油は、地元熊本県〈坂本製油〉の「しらしめ油」。

POINT 2 中華鍋で豪快に

坂口恭平さん 手作りカレーのポイント
「タマネギは、多少の焦げもコクになるので、臆せず強火で調理。できるだけ平たい鍋で作るのがおすすめ」と坂口さん。

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