スパイスへの情熱が旨さの裏づけ。南新宿〈麻辣火鍋専門店 越智〉
食欲不振、冷え性、お疲れ気味のあなたに処方したい〈麻辣火鍋専門店 越智〉。火鍋歴10年以上の越智和彦さんが生み出すのは「本場のコピーではなく、日本人向けにローカライズされたオリジナル火鍋」。
スープは店内で8時間以上かけて炊き上げる豚骨鶏ガラ白湯(パイタン)をベースにした完全無添加の麻辣一択。カツオ節と昆布のだしで味に奥行きを持たせ、煮込むほどに旨味がアップ。鍋料理に馴染みのある日本人の舌とアイデンティティにアプローチする。
四川唐辛子に花椒、漢方薬に用いられる陳皮、当帰、甘草など。使用するスパイスや生薬はおよそ30種類。温活、美肌、滋養と生薬増量セットもあり体調によって補強できるきめ細かさ。野菜もキノコも新鮮で、肉はオーダーが入ってからスライスする姿勢もおいしさの証し!
ツウは四川料理店で事前予約。西荻窪〈中国料理 仙ノ孫〉
こちらの火鍋は2日前までの事前予約制。四川料理の名シェフが腕を振るうとなれば、期待も爆上がりだ。
店主の早田哲也さんは毎年四川を訪れ、深夜でも火鍋を食べる筋金入りの料理人。「現地はたれで食べるのが一般的だけどオイリーだし、日本人には辛すぎる」と、辛味を3分の1に抑えた味つきスープを完成させた。
12時間かかる鶏と豚のコラーゲンスープは塩や朝鮮ニンジンで。和牛の牛脂に15種の香辛料や生薬を加えた麻辣(マーラー)スープは8時間を費やし、醤油やオイスターソースなどで味つけ。「医食同源」をモットーに化学調味料を一切使わず、油や調味料も自家製なのも旨さの秘訣だ。
具材は豚肉、鶏肉、牛肉に季節の野菜とキノコ類、旬の魚介類も魅力的。〆には無添加の平打ち麺と万事抜かりなし!
なにせスゴイのが食材の厳選っぷり。築地〈自然派薬膳火鍋らかんか〉
店主の森田健司さんは自他共に認める健康オタク。薬膳火鍋と謳うからには「スープだけじゃなく具材も厳選しないと元も子もない」とストイックさを発揮。安心・安全・自然な食材を生かす熱量がすごい。
辛くない漢方スープと痺(しび)れる麻辣スープに使われるスパイスや生薬は「効能重視」で20種類以上をグラム単位で吟味。東京しゃもをベースに天然昆布や、原木シイタケをだしに加え、優しいけれど旨味の強い味わいに。山梨の契約農家が育てる自然栽培のオーガニック野菜に少量生産の東京しゃも、ノンストレスの放牧蝦夷豚、青森グラスフェッド短角牛にジビエも調達。〆は岩手の南部地粉の手打ち麺とこだわりは枚挙にいとまなし!
「筋肉量が多い方は特に代謝が上がるので、フェイスタオルを持参してお越しください♪」
和風だしだからこそ染みる日式火鍋。外苑前〈TOKYO TANG TANG〉
「透明感のある和風スープだから食材の良さが引き立ちます」とは、店長の梅田啓一さん。火鍋で和風とはこれいかに?鶏、カツオ節、サバ節、煮干しをじっくり煮込んだ和風だしの白いスープは、火鍋専門店〈TOKYO TANG TANG〉のイチオシ。スタートから旨味たっぷりで、季節の野菜にキノコ、赤豚しゃぶしゃぶ肉、厚切りにした自家製チャーシュー、特製だれに漬け込んだ麻辣牛肉など、どんな食材もしっかり受け止める包容力たるや。
餃子にしても冷凍品は使わず手作り。酸味を効かせたトマトだれと香ばしいカシューごまだれの味変もいい感じ。鍋の構成要素すべてに手間を惜しまない姿勢や良し。数十種類のスパイスを熟成させた赤いスープのほか、期間限定スープもあり。飽きさせない工夫が客を呼ぶ。
食べるというより挑む。貴州省の流儀。新小岩〈貴州火鍋〉
鍋から立ち上る湯気に目が辛さを感知。口にすれば、鮮烈な酸味と刺激が!
一風変わったこの火鍋。それもそのはずで、店主の林敏(リン・ミン)さんは中国西南部の貴州省遵義(じゅんぎ)出身。「辛くないことを恐れる」ほど、四川や湖南、重慶と、他のどの地方よりも辛さが際立っている。
「貴州は湿気が多く、汗をかくために唐辛子を大量に食べます。酸っぱいものを3日食べないと体がだるくなる」そうで、現地の唐辛子で仕込む発酵調味料で故郷の味を再現する。
代表的な火鍋・酸湯魚(スアンタンユー)はミニトマトと香味野菜を乳酸発酵させた紅酸(ホンスァン)を使い、酸っぱ辛い味わいに。むせるので気が抜けないが、発酵由来の酸味と旨味は火鍋猛者ほど惹き込まれるはず。辛味を和らげ胃腸を助く飲むヨーグルトもぜひ併せて。















