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【2.6怖〜3.0怖】読み進めるほどに怖くなるホラーガイド444

映画やドラマから、アニメ、怪談、小説、漫画、ゲーム、YouTube、お化け屋敷まで。日々怖いものを追い求めるマニアたちが全ジャンルのホラーの名作を厳選し、その怖さを1.0から5.0の41段階で判定!読み進めるほどに怖くなる究極のホラーガイド、スタート。

text: Kazuaki Asato, Saki Miyahara, Emi Fukushima, Yoko Hasada, Masashi Tsuji, Ku Ishikawa, Minori Okajima, Ikuko Hyodo, Ryota Mukai, Shigeo Kanno, Koji Okano

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読み進めるほどに怖くなるホラーガイド

2.6怖

【映画】『ポゼッション』
監督:アンジェイ・ズラウスキー/仏=西独/1981年
単身赴任から戻ったマルクは、妻アンナの冷ややかな態度に気づく。浮気を疑うが、調べるほどに謎は深まるばかり。そんな時マルクが雇った探偵が、アンナのアパートに奇妙な怪物が生息していることを発見する。「一部でカルト的人気を誇る傑作です」(森 直人)

【映画】『ウィッカーマン』
監督:ロビン・ハーディ/英/1973年
スコットランドのある島では、原始宗教が根づき奇妙な島民が暮らしていた。行方不明の少女の捜索に訪れた警官は違和感を抱きながらも捜査を続ける。「『ミッドサマー』にも影響を与えたとされる土着ホラーの古典。島に漂う禍々しいムードと、儀式の衝撃!」(森 直人)

【映画】『エスター』
監督:ジャウム・コレット= セラ/米/2009年
3人目の子供を流産し、心に傷を負ったケイトは、夫のジョンとともに地元の孤児院を訪れ、そこで出会った9歳の少女を養子として引き取る。最初はしっかり者で落ち着きのあるエスターに夫婦は好感を持つが——。「近年の子供系サイコホラーでは出色の出来」(森 直人)

【映画】『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』
監督:ヨルゴス・ランティモス/英=アイルランド/2017年
郊外の豪邸で妻や子供たちと幸せに暮らす心臓外科医。謎の少年を迎え入れたことを機に均衡が崩れていく。第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。「美学派の監督が繰り出す、終始不気味な映画です」(森 直人)

【漫画】『ミスミソウ』
著:押切蓮介/2008年
閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女が、常軌を逸した凄絶ないじめに遭う。「実写映画化もされた作品で、すべてを奪われてしまった少女が鬼と化します。不憫すぎて、心が元気じゃないと読めません……」。怪異が一切登場しない中で、おかしくなっていく人間たちが恐ろしい。(緑の五寸釘)

【怪談】黒木あるじ「しにますよ」
『怪談実話コンテスト傑作選 黒四』(MF文庫ダ・ヴィンチ)収録
書けば最悪の場合死ぬといわれる話「しにますよ」。黒木さんはこれを書いて家が燃えたという。「『しにますよ』という作品があることを書いた『ささやき』という話があります。つまり入れ子構造になった実験作なんです」(吉田悠軌)

【ゲーム】『シャドーコリドー 影の回廊』
Steam、PS4、Nintendo Switch/2019年
回廊を探索する和風3Dホラーアクション。能面をつけた徘徊者に追われながら、ダンジョンを駆け回る一方で、攻略するためのヒントを探し回ることに夢中にさせられる。「プレーヤーによっては、怖さに加え、攻略要素も楽しめるはず」(人生つみこ)

2.7怖

【映画】『スクリーム』
監督:ウェス・クレイヴン/米/1996年
舞台は田舎町。高校生のカップルが惨殺される事件が起きた後、主人公はマスクをつけた怪人に襲われる。「ムンクの『叫び』のような仮面を身につけた殺人鬼・ゴーストフェイスという名アイコンを生み出した学園ホラーの名作。怖さはもちろん笑いもあるポップな作風」(森 直人)

【映画】『ぼくのエリ 200歳の少女』
監督:トーマス・アルフレッドソン/スウェーデン/2008年
内気な12歳のオスカーは、隣に越してきた不気味な少女エリに恋をする。しかし彼女には秘密があった。「現在盛り上がりを見せる北欧ホラーの流れはここから始まったともいえる重要作。耽美性と不気味さが共存した独特の魅力です」(森 直人)

【映画】『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』
監督:ジョン・マクノートン/米/1986年
300人以上の女性を殺害した実在の殺人鬼をモデルにした犯罪スリラー。14歳の時に母を殺害したヘンリーは出所後、相棒とその妹との共同生活を始める。しかし次第に殺人衝動が抑えられなくなっていく。「人間の闇が生々しく伝わってきます」(森 直人)

【漫画】『学園伝説 ハサミ女』
著:梅野花/2012年
友情、恋愛、美醜などをモチーフに少女たちを恐怖に陥れた、短編4作。「少女ホラー漫画のジャンルを極めたと言える、抜群の完成度を誇っています。しかも表現の自主規制が厳しくなった時代に、これだけのものを描けたという意味でも稀有な作品で、トップクラスの面白さです」(緑の五寸釘)

【怪談】若本衣織「やみ路」
『忌狩怪談 闇路』(竹書房怪談文庫)収録
ある男性の不幸の始まりは、8歳の時の出来事が原因だった。当時、田舎の祖父母の元へ預けられた少年の遊び場は、藪の奥にある祠ほこら。その祠は自分に呼びかけてくれるのだが、ある日、その声が聞こえなくなり……。「血生臭い話が多い、新世代の怪談師」(吉田悠軌)

【ゲーム】『Layers of Fear』
Steam、Xbox、PS4、PS5、NintendoSwitch/2023年
主人公は、かつて大きな屋敷に住んでいた画家。記憶を辿りつつ、一枚の絵画の完成を目指す。メンタルが崩壊した画家のかつての行動や異常性がグロテスクにリアルに描かれる。「怖さもありつつアートな世界観が魅力的な作品です」(人生つみこ)

【ドラマ】『世にも奇妙な物語』
監督:本広克行ほか/日/1990年~
フジテレビの人気テレビシリーズ。「言わずと知れた国民的ドラマ。誰にでも一つはお気に入りがあるのではないでしょうか。僕は1992年に放送された、筧利夫さんが出演する『見たら最期』という日本人形にまつわる話が、恐ろしくて忘れられません」(劔 樹人)

【アニメ】『ギョ』
監督:平尾隆之/日/2012年
原作は伊藤潤二の漫画。とあるカップルが訪れた沖縄の海で、異形の魚と遭遇。そしてそれらが街に出現!人々を襲い始めるパニックホラー。「笑いと紙一重ながら、悪夢のような物語。魚のクリーチャーをCGで描くことで、不気味な無機質さ、気持ち悪さがよく表現されています」(藤津亮太)

【アニメ】『闇芝居』
監督:高嶋友也ほか/日/2013年~
テレビ東京ほかで放送中、深夜5分枠の“大人向け”ホラーアニメ。放送都市伝説をテーマにした怪奇な物語が、紙芝居風の懐かしくも不気味な雰囲気でテンポよく描かれる。編集部のおすすめは「疼憑き」「寄鼓」「トンネル」。過去回は公式YouTubeチャンネルで視聴できる。(BRUTUS編集部)

2.8怖

【映画】『仄暗い水の底から』
監督:中田秀夫/日/2002年
娘の親権をめぐり離婚した夫と争っている松原淑美は、新しいマンションに引っ越すが、怪奇現象に見舞われる。「Jホラーのハイライトになる作品で、じめじめとした空気感が醍醐味です。心霊ドラマとしてはもちろん人間ドラマとしても出来がいいです」(人間食べ食べガエル)

【映画】『コンジアム』
監督:チョン・ボムシク/韓/2018年
世界七大心霊スポットにも数えられた廃病院を訪れた若者たちを、壮絶な怪現象が襲う。「主観視点のカメラで展開するPOV形式ではしばしば導入を冗長に感じますが、今作はテンポ感が良く飽きさせません。前半と後半の緩急もあり、韓国ホラーのレベルの高さを窺えます」(人間食べ食べガエル)

【映画】『ハロウィン』
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン/米/2018年
1978年の名作『ハロウィン』の40年後を描いた続編。「最近はよく見かけるようになった、十数年もの時間を空けて続編を作る作品のはしり。オリジナルから続く特有の静かな恐怖のみならず、今作ならではの楽しさや盛り上がりもプラスされています」(人間食べ食べガエル)

【映画】『悪魔の奴隷』
監督:ジョコ・アンワル/インドネシア/2017年
謎の病を患っていたリニの母親は突然の死を迎えた後、霊として家に現れる。「1987年のB級ホラー『夜霧のジョギジョギモンスター』のリメイク作。湿度の高い不気味さを感じたかと思えば派手な心霊現象も描かれ、幅広い怖さが楽しめるハイレベルな作品です」(人間食べ食べガエル)

【映画】『マウス・オブ・マッドネス』
監督:ジョン・カーペンター/米/1994年
ある作家が失踪し、保険会社の社員が彼を探すことに。著書の中にヒントを見つけながら行方を追うが、怪奇現象に遭遇することになる。「現実と物語の境目が次第に曖昧になっていく作品。視点が揺さぶられるので、観賞者の不安感も煽られます」(人間食べ食べガエル)

【映画】『紅い服の少女 第一章 神隠し』
監督:チェン・ウェイハオ/台湾/2015年
失踪した老婆を心配するジーウェイの元にカメラが届く。そこに映るのはハイキングを楽しむ老人たちについてくる“紅い服の少女”の姿だった。「台湾ホラーの草分け的作品。アジアホラーらしいジメッとした恐怖の描写が秀逸」(人間食べ食べガエル)

【映画】『デモンズ3』
監督:ミケーレ・ソアヴィ/伊/1988年
北イタリアの大聖堂を舞台に、現在に蘇った悪魔に襲われる人々の姿を描くホラーシリーズの3作目にして、イタリアのホラーを象徴する一作。「『サスペリア』を撮った師匠のダリオ・アルジェントの作品同様、こちらも美しく不気味な映像表現に心を摑つかまれます」(人間食べ食べガエル)

【小説】『クトゥルーの呼び声』
著:H・P・ラヴクラフト/訳:森瀬繚/2017年
著者が創始した、人類史以前に地球へ飛来した邪神たちを描いた架空のクトゥルフ神話を収録。「様々な設定がリンクして、一つの巨大な怪異が見えてくる壮大な世界観。格調高い小説でしたが、新訳版によって非常に読みやすくなりました」(朝宮運河)

【怪談】小原昌和「ミイラ山」
原さんはバンド仲間とともに、新興宗教の高僧のミイラが眠るという塔へ肝試しに出かける。道中から不穏な出来事に見舞われるが……。「心霊現象はベタだけど、語り口がエモーショナルで現代的。センス溢れるニュージェネレーション」(深津さくら)

【怪談】怪談社「廃校」
『怪談社 THE BEST 鬼の章』(竹書房怪談文庫)収録
過疎化が進み廃校となった学校へ、肝試しに行った男女5人。1人はあまりの恐怖に車で待つことに。脱出の鍵は、小学生が握っていた。「廃校に向かった5人、そこで出会う小学生など、いろんな人の視点が入り交じり、想像を搔かき立てられます」(深津さくら)

【ゲーム】『​​クロックタワー』
Steam、Xbox、PS5、Nintendo Switchほか/2023年
1995年に発売され、後に3作品が展開された人気シリーズ。14歳の少女ジェニファーがクロックタワー(時計塔)からの脱出を図るアドベンチャーホラーゲーム。「映画『フェノミナ』を観てからプレーしてほしい。『恐怖のハサミ男』も候補でした」(向江駿佑)

【ドラマ】『今、私たちの学校は...』
監督:イ・ジェギュ、キム・ナムス/韓/2022年
高校の校舎内でまたたく間に広まったゾンビウイルス。閉じ込められた生徒たちは、学校の中で、生き残りを懸けた戦いに挑む。原作は、繊細な描写を得意とするクリエイター、チュ・ドングンによる人気ウェブトゥーン。シーズン2の制作も正式に発表されている。「学生時代、授業中に“今、ゾンビが来たらどう戦おう”と妄想したことがある人にはたまらない作品だと思います」(DIZ)

【ドラマ】『呪報2405 ワタシが死ぬ理由』
演出:瑠東東一郎ほか/日/2012年
関西テレビで制作されたホラードラマ。「ニュースキャスターを演じる高橋愛さんは、『世にも奇妙な物語』のタモリさんのような狂言回しのポジションで出てきているのかと思いきや、最後は彼女も恐怖体験に巻き込まれていきます」(劔 樹人)

【映画】『禁じられた遊び』
監督:中田秀夫/日/2023年
愛する妻を亡くした伊原直人は、息子の春翔と2人暮らしを始める。そんな中、元同僚の倉沢比呂子は直人の家で、奇妙な呪文を唱える春翔の姿を目撃。その呪文は直人が冗談で息子に教えたものだと話すのだが、様々な怪異を引き起こしていく。(BRUTUS編集部)

2.9怖

【映画】『13日の金曜日』
監督:ショーン・S・カニンガム/米/1980年
舞台は、かつて若い男女が惨殺され、呪われた場所として知られるあるキャンプ場。そこに若者たちが乗り込んでくる——。「ホラーアイコンのジェイソンの起源とも言えるシリーズの第1作という功績は大きく、後世に影響を与えた一作です」(森 直人)

【映画】『ビー・デビル』
監督:チャン・チョルス/韓/2010年
都会に疲れ生まれ育った孤島へやってきた主人公は、幼馴染みボンナムに出迎えられる。彼女の置かれた地獄のような状況を知っていく中、ついにボンナムは自ら島脱出を試みる。「終始嫌なものを見せられたなという後味のスプラッター系。閉鎖社会に人間の嫌な部分が凝縮」(森 直人)

【映画】『ソウ』
監督:ジェームズ・ワン/米/2004年
2人の男は老朽化したバスルームで目覚める。足には鎖が付けられ、目の前には自殺死体。一体何が起こったのかを把握しようとするが——。「ジェームズ・ワンとリー・ワネルが手がけた長編の第1作。以降9作にまで続く常軌を逸したアイデアが何よりもの醍醐味です」(森 直人)

【書籍】『怖い俳句』
著:倉阪鬼一郎/2012年/幻冬舎新書
高野素十が詠んだ「芋虫の 一夜の育ち 恐ろしき」など、世界で一番短い詩=俳句が表現する恐怖。怪談小説の書き手としても著名な倉阪の解説を伴走に、芭蕉から現代の俳人までホラー視点で俳句を読み解く。「短いがゆえに怖い。日本語の奥深さと面白さを感じ、想像力が刺激されます。解説も丁寧なので、句の意味もよく理解できる。自分がどんなタイプの恐怖に弱いのか、“怖さのツボ”を発見できる一冊としておすすめ」(門賀美央子)

怖い俳句

【小説】『狂気の山脈にて-クトゥルー神話傑作選-』
著:H・P・ラヴクラフト/編訳:南條竹則/2020年
20世紀前半に活動した、米国怪奇小説のパイオニアによる短編神話8本。ヴィオル奏者の老人が奏でる、不気味な音から物語が展開する「エーリッヒ・ツァンの音楽」など。「定番中の定番。クトゥルフ神話が苦手な人にもぜひ」(門賀美央子)

【小説】『わたしたちが火の中で失くしたもの』
著:マリアーナ・エンリケス/訳:安藤哲行/2018年
秘密の廃屋をめぐる少年少女の物語のほか12編収録。「ゴシックファッションを身に纏まとう、お洒落な著者。引きこもりや貧困といった弱き者の声と幻想的なホラーの世界観を結びつけ、抵抗の文学としても力強さを感じます」(朝宮運河)

【漫画】『笑顔の世界』
著:岬かいり/2023年/小学館
いじめられているクラスメイトの笑顔に疑問を持った少女が、虐げられても笑っていられる手術の存在を知る表題作は、少女漫画サイト「ちゃおコミ」で発表されて激バズり。「絵柄はいかにも少女漫画なのですが、大人もどん引きするほど容赦ない世界を描いていて、そのギャップが多くの人の心に刺さった作品です。現代社会への風刺とも受け取れる社会派ホラーなのも大人に受けた一因でしょう。もちろん子供も読んでほしい!」(緑の五寸釘)

笑顔の世界

【怪談】夜馬裕「ばんもんの部屋」
『厭談 祟ノ怪』(竹書房怪談文庫)収録
個人経営の清掃業者が請け負った仕事は、土砂にまみれた部屋の片づけだった。獣のような見た目の老婆が砂を集める理由とは?「この話は別のエピソードにも繫がっていくんです。奇妙なことが積み重なっていく、独自の構造で作り上げられた嫌な怪談」(吉田悠軌)

【ゲーム】『ふぁんしーあいらんど』
ブラウザのみ/2012年
ひらがなのタイトル名からは想像できない、大きな音と叫び声などジャンプスケア要素の強いブラウザゲーム。「中盤以降は特にカオスですね。初心者でも気軽にできますが、ナメてると痛い目を見ます(笑)。検索してはいけない言葉としても取り上げられていました」(人生つみこ)

【映画】『ミンナのウタ』
監督:清水崇/日/2023年
一度聞いたら伝染する呪いのメロディを奏でる少女・さなをめぐる物語。人気ラジオ番組のパーソナリティを務めるダンスグループのメンバー30年前のカセットテープを発見し、数日後に失踪。残されたメンバーは、彼の発言を手がかりに捜索に乗り出す。(BRUTUS編集部)

3.0怖

【映画】『ザ・フライ』
監督:デヴィッド・クローネンバーグ/米/1986年
科学者のセスは自ら発明した機械で、自分の体を転送することに成功する。彼の姿はみるみる変化するが、ハエが紛れ込んだことによって怪物に変貌していく。1958年の映画『蠅男の恐怖』のリメイク作。「SFホラーの傑作。最終的に仕上がる怪物が怖い」(森 直人)

【映画】『MEN 同じ顔の男たち』
監督:アレックス・ガーランド/英/2022年
夫の死を目撃し心に傷を負ったハーパーは、休養のためイギリスの田舎町を訪れる。しかしそこでは、管理人も牧師も警官も、全員全く同じ顔をしていた。「同じ顔をした男たちが目の前に現れるというアイデアが面白く、クライマックスは驚愕!」(森 直人)

【映画】『ミッドサマー』
監督:アリ・アスター/米=スウェーデン/2019年
家族を失い失意のどん底にいるダニーは、恋人や友人と、旅行のためにスウェーデンの奥地の村へ。そこでは90年に1度の祝祭が行われていた。「北欧の土着文化と日が沈まないことからくる独特な陽気さが、ホラーと合体した時に奇妙に胸に迫ってきます」(森 直人)

【映画】『ラストナイト・イン・ソーホー』
監督:エドガー・ライト/英/2021年
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、ロンドン・ソーホーのデザイン専門学校に入学。格安で借りた新居のアパートで眠りに就くと、夢の中で60年代のソーホーにタイムスリップしていく。「お洒落好きのニューロティックな地獄巡りです」(森 直人)

【アニメ】『オオカミの家』
監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ/チリ/2018年
『ミッドサマー』のアリ・アスターが一晩に何度も観賞するほど惚れ込んだというストップモーションアニメ。森の中の一軒家で仔ブタたちと暮らし始めた娘マリア。次第に悪夢のような禍々しさに呑み込まれていく。(BRUTUS編集部)

【小説】『影踏亭の怪談』
著:大島清昭/2022年
変死した実話怪談師である姉が調査していた、いわくつきの話。その舞台の宿に足を運ぶと密室殺人事件が起きてしまう。「令和のトレンド、ホラー×ミステリーを牽引する作家。人の手による犯罪と人知を超えた怪談が見事に融合していて、危ういバランスで保たれている作品です」(朝宮運河)

【小説】『赤い月、廃駅の上に』
著:有栖川有栖/2009年
日本を代表するミステリー作家が挑んだ初の怪談集。大阪万博の追憶の中に生き、万博公園へ向かう列車に乗った男を追う「夢の国行き列車」など、鉄道をモチーフにして叙情的に怪異を描き出す。「有栖川怪談の醍醐味は情緒。しみじみとした怖い話を読みたい人はぜひ」(門賀美央子)

【小説】『文豪怪奇コレクション 幻想と怪奇の夏目漱石』
著:夏目漱石/編:東雅夫/2020年/双葉文庫
文豪・夏目漱石が残した怪奇幻想作品を精選して一冊に。イギリス留学の体験を夢幻的に描いた「倫敦塔」や心霊小説「琴のそら音」、“こんな夢を見た”で始まる幻想文学の傑作「夢十夜」などを収録。「怪談としては『夢十夜』の第三夜が特に怖い。昔からある民話を基にした話で、徐々に不安感が醸し出されていく。短い話なので、文豪の小説が苦手な人でも読み通せると思います」(門賀美央子)

文豪怪奇コレクション 幻想と怪奇の夏目漱石

【小説】『姫君を喰う話 宇能鴻一郎傑作短編集』
著:宇能鴻一郎/2021年
愛する人の肉を食す、母親への愛着など背徳的なテーマを扱った作品。「純文学、ポルノ作家でもある著者による偏愛集。冷静に考えると引いてしまうフェティシズムも美しい。熱を帯びた文章により、怖さもありながら幻想文学の高みにまで達しています」(朝宮運河)

【ゲーム】『The Last of Us』
PS4/2014年
突然のパンデミックで崩壊した世界で生きる登場人物たちが皆魅力的で、それに伴うストーリーも秀逸。クリッカーというクリーチャーがとても不気味で、恐怖度も高い。「ドラマや映画好きにはきっと刺さる名作で、世界中の人々にぜひ一度は遊んでほしいホラーゲームです」(人生つみこ)

【ドラマ】『Sweet Home -俺と世界の絶望-』
監督:イ・ウンボク/韓/2020年/Netflixオリジナル
異形の怪物が現れ、非常戒厳令下に置かれた韓国を舞台にしたサバイバルドラマ。「人の内面の醜悪な部分がビジュアル化され人々に襲いかかるというアイデアが面白い一作です。続編の公開前にぜひ観てほしいですね」(DIZ)

【アニメ】『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメ第6シリーズ
ディレクター:小川孝治/日/2018~20年
アニメ放送50周年記念作品。SNSなど現代的な要素が盛り込まれている。「第7話『幽霊電車』は、過去のシリーズでもアニメ化されてきた有名原作。今回はパワハラ、いじめを盛り込みシビアな幕切れに。ホラーとしての見応え十分」(藤津亮太)

【心霊ドキュメンタリー】『日本怨念地図』
監督:白石晃士ほか/日/2001年
各地に点在する心霊スポットを取材したドキュメンタリー。「よくある投稿映像を集めたものではなく、青森県の杉沢村や富士の樹海など、いわく付きの場所をスタッフが突撃取材し噂の真相を実直に追求する作品。目立った幽霊が出ないからこそ、リアリティがあります」(皆口大地)

【お化け屋敷】『恐怖の館 呪いの集落』ミラージュランド
富山・魚津/水曜休(祝日の場合は翌日休)
北欧の漁師町で起こった架空の大量殺人事件を題材にした館内には、リアルに造形された大量の人間の生首や、臓器のホルマリン漬けなどが数多く並ぶ。「のどかな遊園地の雰囲気とは180度異なる、身も凍る怖さ。そのギャップも楽しいです」(ジェットコ社会人)

『恐怖の館 呪いの集落』ミラージュランド

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