1.0怖
【映画】ディテンジョン
監督:マイク・メンデス/米/2006年
墓場で酒盛りをしていた男女が、そこに眠る亡霊たちの怒りを買い呪われる。「終盤までは真面目なオカルトホラーですが、襲いかかる幽霊たちが生前に凶悪犯だった激ヤバな存在だと気づいてからはバトル要素が強まり、肉弾戦へ。盛り上がりが楽しい好きな一作です」(人間食べ食べガエル)
【映画】ブラックフォン
監督:スコット・デリクソン/米/2021年/U‒NEXTで配信中
子供の連続失踪事件を描いたサイコスリラー。気弱な少年フィニーは学校の帰り道に誘拐されてしまう。閉じ込められた地下室には断線した黒電話があった。「怖さよりは、ノスタルジックさが迫ってくる。友情映画として完璧で、グッときます」(人間食べ食べガエル)
【映画】スペル
監督:サム・ライミ/米/2009年
昇進を間近に控えるクリスティンは、正気を失った老婆に襲われ、呪文のような言葉を浴びせられる。以来周囲で不可解な出来事が起こるように。「ホラー演出をデフォルメ化して突き詰めたコミックホラー。呪いをかけてくる老婆との肉弾戦も面白く、随所に笑えるポイントも」(人間食べ食べガエル)
【小説】吸血鬼ヴァーニー
著:ジェームズ・マルコム・ライマーほか/訳:三浦玲子、森沢くみ子/2023年/国書刊行会
名家に侵入した脅威の怪物……吸血鬼の原点となったゴシックホラーの伝説的作品。「ヴィクトリア朝時代のイギリスで、安価な週刊誌『ペニー・ドレッドフル』に掲載されていた大衆小説。ホラーマニア待望の、幻の超長編名作の翻訳版です。吸血鬼のルーツを学べる意味でも興味深く、また、描かれる吸血鬼が情けなくて人間味があり、珍妙な味わいがあります」(朝宮運河)
【漫画】令和のダラさん
著:ともかつ治臣/2022年〜
嵐の日、町の者は絶対に近寄らない忌み地に足を踏み入れてしまったきょうだい。そこで出会ったのは……。「裏山に根づく祟り神と、今どきの子供たちの心温まる交流が、コメディタッチに描かれます。一方、忌み地で不調を来す霊障がよく解説されていて、勉強になります」(緑の五寸釘)
【漫画】訳アリ心霊マンション
著:ネブクロ/2022年〜
フリーターの主人公が中古マンションを一棟買いして、夢の不労所得生活!と思いきや、心霊現象が多発して入居者が集まらず、大胆なことを思いつく。「所有する物件に悪霊を住まわせて家賃収入を得ようとする、おかしな大家が気持ちいい。霊と人間の共存にホッコリ」(緑の五寸釘)
【怪談】深津さくら「わ」
飛行機の整備員がエンジンに飛び込み、自殺した。その凄惨な光景を目の当たりにしてしまった女性の前に現れたのは、極太ゴシックの「わ」の文字⁉「話の始めはギョッとする内容だけど、“わ”の文字に怖さよりも奇妙な感慨が強くなる」(吉田悠軌)
【怪談】木原浩勝「地下室」
『新耳袋 第一夜 現代百物語』(角川文庫)収録
改築の際に見つかった地下室の謎をめぐる小話。新耳袋は1990年代スタートの実話怪談集。怪談を100語ると怪異が現れるとされる、日本の怪談会のスタイル・百物語をヒントに、1冊に全99話を掲載。「中山市朗さんとともに新耳袋を生み出したレジェンド」(吉田悠軌)
【ゲーム】Ib
Steam、Nintendo Switch /2022年/kouri
不気味な美術館が舞台の2Dホラー探索型アドベンチャー。かわいらしいキャラクターと裏腹にしっかりと怖い。「ホラーゲームの入門編としてぜひチャレンジしてほしいタイトル。豊富なキャラクターグッズが展開されていることからも人気の高さが窺えます」(人生つみこ)
【ゲーム】魔女の家
Steam、Xbox、PS4、Nintendo Switchほか/2022年
手がかりを頼りに謎を解くホラーアドベンチャー。2D作品ではあるが、ストーリー性もBGMも評価が高い。マルチエンディング方式を採用。後のフリーホラーゲームに影響を与えたとも言える。「今回選んだ中で怖さは低いが、個人的に好きな作品です」(向江駿佑)
【アニメ】ドロロンえん魔くん
チーフディレクター:矢吹公郎/日/1973〜74年
閻魔大王の甥、えん魔くんが悪い妖怪を成敗していく。「第9話『日本列島大爆発の日』がパンチ力大。孤独な男がライフル乱射魔となる冒頭から始まり、日本に水爆が投下されるまでに事態はエスカレート。簡単に人が人を殺すようになる描写が衝撃」(藤津亮太)
【心霊ドキュメンタリー】ほんとうに映した!妖怪カメラ
監督:寺内康太郎/日/2015年
「低クオリティな心霊ドキュメンタリーを、ものすごく真面目に、かつハイクオリティにやってのける異色作です。妖怪をカメラに収める困難さや焦りまでもがドキュメンタリーに盛り込まれていて、つまらないのに愛おしく存在感のある、まさに迷作です(笑)」(皆口大地)
1.1怖
【お化け屋敷】地獄のタイトーステーション くらやみ遊園地 くらやみレストラン
タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド/東京・新宿/無休
謎めいたレストランを舞台にしたサウンドホラー。「ヘッドホンを着けてテーブルに座り、選択肢を選ぶべくボタンを押します。暗い部屋で音声を頼りに生存をかける状況が怖いです」(ジェットコ社会人)
1.2怖
【映画】M3GAN/ミーガン
監督:ジェラルド・ジョンストン/米/2023年
両親を亡くした姪を引き取ることになった研究者のジェマは、塞ぎ込む彼女にAI人形のミーガンを引き合わせる。「ミーガンの美少女風の完璧な見た目がキャッチーです。防水仕様でないことには驚きましたが、ツッコミどころも含めて楽しいホラーです」(森 直人)
【小説】怪談
著:小泉八雲/訳:円城塔/2022年
帰化した作家ラフカディオ・ハーンによる、日本に言い伝えられる怪談を英語圏読者に向けて紹介した作品。「円城塔さんが原文の持つ“変さ”を生かして、あえて直訳調に仕上げているのが見事。外から見た日本の奇妙さが際立っていて、英米読者の驚きを追体験するようです」(朝宮運河)
【ドラマ】1899
製作総指揮:バラン・ボー・オダー、ヤンチェ・フリーセ/独/2022年
19世紀末、新大陸を目指してヨーロッパから出港した蒸気船が、消息不明だった船と偶然遭遇し、悪夢のような事態に陥る。「私が人生で一番好きなドラマ『ダーク』の制作陣による緻密な脚本が本作の魅力です。シーズン1での打ち切りが残念!」(DIZ)
【アニメ】クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!
監督:ムトウユージ/日/2006年
野原家が暮らすカスカベに“人間がいつのまにか偽物に入れ替わってしまう”という都市伝説が広がる。その真実は?「知らないうちに親が偽物に入れ替わっているという、子供ならトラウマ必至の描写。大人も薄ら怖さを感じるはず」(藤津亮太)
【映画】ホーンテッドマンション
監督:ジャスティン・シミエン/米/2023年/9月1日公開
ディズニーの人気アトラクションが実写化。ある親子が手に入れた豪華すぎるマイホーム。そこはなんと、999人のゴーストが棲すみ着く呪われた館だった!4人の心霊エキスパートとともに、親子は幽霊たちに立ち向かう。(BRUTUS編集部)
1.3怖
【映画】チャイルド・プレイ
監督:トム・ホランド/米/1988年
売り出し中の「グッドガイ人形」にブードゥー教の秘術によって魂を移したシリアルキラーのチャッキーが、親子を恐怖で翻弄する。「名ホラーアイコンであるチャッキーを生み出したという意味で重要な作品。子供から大人まで楽しめる定番ホラーです」(森 直人)
【ゲーム】ひぐらしのなく頃に
Steam、Nintendo Switch、PS4ほか/2018年
初作品は、2002年に登場し、複数のメディアで展開されている。ビジュアルノベルというジャンルだが、ストーリーの中にホラー要素やグロいシーンが垣間見られ鳥肌ものの怖さが光る。「同人ホラゲの名作。ファンによる考察もゲームの一部」(向江駿佑)
1.4怖
【映画】リサイクル 死界
監督:オキサイド・パン、ダニー・パン/香港=タイ/2006年
人気作家のディンインは、自分が書いた小説の設定が現実に起こり始め錯乱する。「九龍城のような多重構造の建物や観覧車、大きなおもちゃなど、異世界の表現が独特で面白いです。ファンタジックな映像表現を楽しみたいならおすすめです」(人間食べ食べガエル)
【映画】ヒューマン・キャッチャー
監督:ビクター・サルバ/米/2003年
映画『ジーパーズ・クリーパーズ』の続編。バスのタイヤがパンクし立ち往生してしまった高校のバスケ選手たちを人間を食う異様な怪物が襲う。「サバイバルアクションに徹底的に振り切っていて、後半にかけてのテンションの上がり方が楽しい一作です」(人間食べ食べガエル)
【小説】異形の愛
著:キャサリン・ダン/訳:柳下毅一郎/2017年
アザラシの兄、結合双生児の姉、特別な力を持つ弟という風変わりな巡業サーカス一家に訪れる崩壊の日。「人とは違う体を持つ家族の暮らしは、まさに怖いもの見たさを刺激する怪奇な世界。“はみ出し者”に惹かれる人には共感できる物語だと思います」(朝宮運河)
【怪談】牛抱せん夏「三面鏡」
母親に「触っちゃだめ」と口酸っぱく言われていた三面鏡の前に見知らぬ女性が。彼女にそそのかされて、幼稚園児の女の子は三面鏡に近づいていく。「和ホラー。幻想文学の先駆者として知られる作家泉鏡花が描いたような、美しい話です」(吉田悠軌)
【ゲーム】つぐのひ
Steam、Nintendo Switch/2012年
複数のストーリーが同梱された2Dホラーゲームシリーズ。主人公を左にスクロールするだけのシンプルなシステムで、1話あたり約30分でプレーできる。初心者でもサクサクと楽しめるのも魅力。「特に怖かった作品は『つぐのひ‒昭和からの呼び声‒』です」(人生つみこ)
1.5怖
【映画】スリザー
監督:ジェームズ・ガン/米/2006年
アメリカ南西部に謎の隕石が落下。町の有力者グラントがそれを発見するが、突然そこから何かが飛び出し彼の体内に侵入してしまう。その日から、町では行方不明者が続発するように。「ホラーコメディとして優れた作品。笑いながら楽しめて、ホラー初心者にもおすすめ」(森 直人)
【小説】アサイラム・ピース
著:アンナ・カヴァン/訳:山田和子/2019年
城の地下牢にとらわれた女性、意味不明な裁判など謎と不条理に満ちた世界を描いた11編。「不安や怯えなど、生きることの言いようのない苦しさが切実に綴られていて、シンクロする人はどん底まで引き込まれてしまうかも。読むタイミングにご注意を」(朝宮運河)
【漫画】営繕かるかや怪異譚
原作:小野不由美、漫画:加藤和恵/2022年
歴史を重ねた古い住居などにまつわる怪現象を、自称大工の青年が解決に導いていく。人気小説の漫画化。「怪異を祓はらうのではなく、寄り添い、修繕する一風変わった除霊のお話。目に見えなくとも確実に実在すると思わせる描写に、息を呑みます」(緑の五寸釘)
【怪談】城谷歩「ジョーク」
高校時代の同級生2人組がドライブ。その道すがら、一人がもう一方を怖がらせようと一芝居打つ。そろそろ種明かしをしようというタイミングで思わぬ出来事に見舞われて……。「テンポいいやりとりはまるで落語。語り方が魅力です」(深津さくら)
【ゲーム】夜廻三
Steam、Nintendo Switch、PS4/2022年
夜道を探索する『夜廻』シリーズの第3弾。忘れていた光景を思い出すために、夜の街のどこかにある「なくしたもの」を探し出すのがゲームの目的。「初心者タイトルとして絶対におすすめ。わかりやすいジャンプスケア要素もあるが全体的にシンプルに遊べるのが魅力」(人生つみこ)
【ドラマ】ウェンズデー
製作総指揮・監督:ティム・バートン/米/2022年/Netflixで配信中
名作『アダムス・ファミリー』のウェンズデーが主人公。「ティム・バートン作品に求める世界観のかわいさや、癖の強いキャラクターなどすべてがあります。ただ“人は信じられない”というテーマを徹底して描く点は怖いです」(DIZ)
【ドラマ】この動画は再生できません
監督:谷口恒平/日/2022年
テレビ神奈川で放送されていた謎解きホラー。お笑いコンビのかが屋が主演を務める。2023年9月からシーズン2が放送。「心霊ドキュメンタリーの制作スタッフを演じるかが屋の2人がストーリーテラーの役割。少し説明しすぎているような気もしましたが(笑)」(劔 樹人)
【お化け屋敷】ショッキングホラーミュージアム
姫路セントラルパーク/兵庫・姫路/水曜休(8月中は無休)
来場者は電気商会の社員となって、深夜の博物館で発電機を修理するミッションが与えられる。「こちらがアクションを起こすたびに、様々なモンスターが現れます。怖いものが苦手な人も楽しめるお化け屋敷です」(ジェットコ社会人)
【お化け屋敷】新・幽霊堂 ~恐怖の旅~
よこはまコスモワールド/神奈川・横浜/無休
来場者は、日本のお化けが出現する館内をライドに乗って進む。「乗り物の周囲に金網が張り巡らされているため、幽霊などがギリギリまで接近してくる恐怖が味わえます。また怖さの度合いを3段階から選べますが、最恐の“たま三つ”がおすすめ」(ジェットコ社会人)
1.6怖
【映画】貞子 vs. 伽椰子
監督:白石晃士/日/2016年
Jホラーを代表する2大キャラクターが、対決という形で共演を果たした作品。「フェイクドキュメンタリーの有力者である白石監督が、通常スタイルの劇映画として撮った一作。アクションホラーコメディとして優れており、もっと世の中に評価されるべき一作だと思います」(森 直人)
【小説】兎の島
著:エルビラ・ナバロ/訳:宮﨑真紀/2022年/国書刊行会
異常繁殖した白兎、耳から肢あしが生えてきた作家など、奇妙な11編を収録。「マリアーナ・エンリケス、ピラール・キンタナら女性作家の躍進が目覚ましく、世界の文芸シーンでも注目されているスパニッシュホラーの作品。ナバロはシーンを代表する書き手の一人。着想が豊かで、現実と非現実、現在と過去が絶妙なバランスで混ざり合い、少しずつ現実が滅びていく。そんな恐怖と不安が描かれています」(朝宮運河)
【小説】ラヴクラフト・カントリー
著:マット・ラフ/訳:茂木健/2023年
戦争から帰還した黒人青年が、姿を消した父捜しの旅に出る。「人種差別的な考えの持ち主だったH・P・ラヴクラフトの小説を下敷きに、黒人視点で語り直したもの。黒人にとって長旅は命懸け、人間の差別意識は幽霊と同じくらいに恐ろしいなと感じます」(朝宮運河)
1.7怖
【怪談】朱雀門出「オーグリーンは死にました」
怪談五色呪葬』(竹書房文庫)収録
戦隊モノの特撮番組『超力戦隊オーレンジャー』。登場するオーグリーンが、とある回で死んでしまう。「怪人に普通に殺されるんですよ。その死に方があまりにもあっけない。怖さを超えて、奇妙で不条理な世界が感じられるんです」(吉田悠軌)
【映画】キャビン
監督:ドリュー・ゴダード/米/2012年/U‒NEXTで配信中
女子大生のデイナは、仲間と5人で山奥にある別荘へ。しかし彼女たちの行動は、謎の組織によってすべて監視されていた。「エンタメ性が高く、また裏でテクノロジーを駆使して監視されているという設定も他に類を見ない作りで非常にユニークです」(人間食べ食べガエル)
【映画】キャンディマン
監督:バーナード・ローズ/米/1992年
鏡の前でその名前を5回唱えると現れるとされる殺人鬼キャンディマン。その伝説を研究していた学生の元に彼は現れる。「キャンディマンを演じたトニー・トッドの恐ろしくも神秘性のある佇まいが魅力的。いまだに愛され続けるホラーキャラなのも納得です」(人間食べ食べガエル)
【映画】フレディVSジェイソン
監督:ロニー・ユー/米/2003年
『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーと『13日の金曜日』のジェイソンが直接対決。「難しいクロスオーバーにいち早く挑み、かつ完璧に仕上げた作品。異なる2つの世界観を繫げる設計がうまく、後半に両者が相まみえるタイミングの盛り上がりはファン垂涎」(人間食べ食べガエル)
【映画】インシディアス
監督:ジェームズ・ワン/米/2010年
ルネとジョシュは子供たちと新居に越すが、不可解な現象が発生。不吉に思い別の家に越すも、一家には不吉な存在が取り憑ついていた。「ジェームズ・ワンとリー・ワネルのタッグでオカルトを真正面から見せてくれる映画。人間側のキャラの立ち方も魅力的です」(人間食べ食べガエル)
【映画】V/H/S ネクストレベル
監督:サイモン・バレット、ティモ・ジャヤントほか/米/2013年
モキュメンタリー形式で展開するオムニバスシリーズの2作目。「『SAFE HAVEN』というエピソードがイチオシ。カルト宗教施設の取材に行った主人公が集団自殺に巻き込まれる筋書きで、勢いがあって見応え抜群です」(人間食べ食べガエル)
【小説】来世の記憶
著:藤野可織/2020年/KADOKAWA
親友の前世は、主人公が前世で殴り殺した妻だった。奇妙かつ斬新な設定で紡がれる表題作や書き下ろしを含む20編を収録。「藤野さんは純文学の中でもホラーに近いものを書かれています。根底にあるのは、世界への子供のような怯え。初めて社会と直面した時に感じる戸惑いや恐怖を、本作では鮮烈なイマジネーションをもって起こるはずのない出来事として書き、不思議な現実感と不安をうまくすくい上げてくれています」(朝宮運河)
【ゲーム】死印
Xbox、PS4、Nintendo Switchほか/2017年
1990年代の東京が舞台。死へのカウントダウンを意味する謎の痣(シルシ)を刻まれた主人公がほかの“印人”と協力し生きる術すべを見つけ出すストーリー。「心霊スポットや怪奇現象などゾクッとする静かな恐怖をビジュアル化した作品は、2Dでありながらも非常に不気味」(向江駿佑)
【ドラマ】何かおかしい
演出:太田勇ほか/日/2022年原案は主にインターネットで活躍するホラー作家の雨穴で、ドラマにもストーリーテラーとして登場する。テレビ東京系列でシーズン2まで放送された。「シーズン1、第5話の『儀式』は、地方の不気味な風習についての話です。僕好みの題材で楽しめました」(劔 樹人)
1.8怖
【映画】死霊館
監督:ジェームズ・ワン/米/2013年
怪現象が相次ぐ米・ロードアイランド州の一軒家。そこに暮らす一家は、心霊学者のウォーレン夫妻に解決を依頼する。実在の心霊研究家夫婦が体験した出来事を映像化。「屋敷モノの中で近年では特に影響力の大きい作品。アトラクション的なお化け屋敷のノリに近いかなと」(森 直人)
【小説】吸血鬼ハンターたちの読書会
著:グレイディ・ヘンドリクス/訳:原島文世/2022年
殺人ノンフィクションばかり取り上げる読書会に参加する、婦人たちの対吸血鬼の奮闘。「女性同士の連帯や親への葛藤など、成長物語としても読み応えあり。細やかな描写もしみじみと良く、市井の人々に勇気を与えてくれる作品です」(朝宮運河)
【小説】死人街道
著:ジョー・R・ランズデール/訳:植草昌実/2021年/新紀元社
荒野を旅する無頼の牧師が、ゾンビの群れやおぞましい怪物たちと戦う冒険の物語。「西部劇とホラーを融合させた“ウィアード・ウェスト”と呼ばれるジャンルで、本国では人気だそう。著者は黒人のゲイを主人公にしたシリーズ作品を発表するなど、マイノリティと親和性が高く、弱い者の声をすくい上げています。短編それぞれでアメリカ社会が抱える問題を扱い、社会性も帯びている作品です」(朝宮運河)
【怪談】小川奈まり子「分身」
『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)収録
川奈さんの過去の体験談。インターネット掲示板に書き込まれた川奈さんの目撃情報。次第に川奈さんと瓜二つの人物の存在が浮上する。「結局最も怖いのは人間、いわゆるヒトコワというジャンルの話。異様な状況なのに川奈さんが怖がってないのも怖い」(深津さくら)
【ドラマ】真夜中のミサ
製作総指揮・監督:マイク・フラナガン/カナダ=米/2021年
小さな孤島の町で、新しく司祭となった若き男が、ミサである奇跡を起こす。それを機に、信者たちはカルト化。「『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』のマイク・フラナガンの作品なので、脚本も演出もクオリティが高く仕上がっています」(DIZ)
1.9怖
【映画】LAMB/ラム
監督:ヴァルディミール・ヨハンソン/アイスランド=スウェーデン=ポーランド/2021年
舞台はアイスランドの田舎。羊飼いの夫婦は、羊から生まれた羊ではない何かを育てるが、それが破滅へと繫がっていく。「ほとんど日が沈まないアイスランドが舞台ゆえ、美しくも不穏な白夜が怖さを助長しています」(森 直人)
【映画】黒い家
監督:森田芳光/日/1999年
生命保険会社に勤める若槻はある日、「自殺でも保険金は下りるのか」との問い合わせ電話を受ける。彼はとっさになだめるが、翌日若槻宛てのクレームが入った。「黒沢清監督の『CURE』にも続くサイコホラーの傑作。怖さはもちろん、物語としての出来が素晴らしいです」(森 直人)
【小説】私の頭が正常であったなら
著:山白朝子/2018年
突然幽霊が見えるようになった夫婦、虐待によって命を落とした女の子など“喪失”をテーマにした短編集。「乙一さんが別名で書いた幻想ホラー。乙一さんらしい切なさも交えつつ、現実の残酷さも正面から描かれている。素晴らしいホラー作品だと感じます」(朝宮運河)
【ゲーム】新殺しの館(Super Murder House)
Steam、Xbox、PS4、Nintendo Switchほか/2022年
廃屋を舞台に80年代のホラー映画をインスパイアしたスプラッター系の残酷な描写が多い作品。VHSのケースを模したタイトル画面の演出もかっこいい。「アイコンが怖すぎてNINTENDO STOREから削除されたという逸話もあります」(人生つみこ)
【ドラマ】カイダン都市伝説 洒落怖
監督:永江二朗ほか/日/2021年
2ちゃんねるのオカルト板スレッドで「洒落怖」と呼ばれる6つの都市伝説をドラマ化。「『くねくね』や『パンドラ』など有名作品の実写化。演出が凝っていたのですが、洒落怖ファンとしては、より原作に忠実に作ってもらえたらさらにハマったと思います」(劔 樹人)
2.0怖
【映画】ザ・フォッグ
監督:ジョン・カーペンター/米/1980年
小さな港町のアントニオ・ベイは誕生100周年を迎えると同時に不可解な出来事が起こるように。不気味な霧が町を覆い、亡霊たちが住民を襲う。その背景には、町が持つ呪われた過去があった。「静かな恐怖を描いていて、展開の不条理さも強いです」(森 直人)
【小説】ブラックノイズ 荒聞
著:張渝歌/訳:倉本知明/2021年/文藝春秋
人身事故を起こして、借金に追われているタクシー運転手が見つけた呪いのカセットテープ。謎の声がささやく「ミナコ」から広がる恐怖の連鎖……。「『リング』をはじめ、Jホラーからの色濃い影響を感じる台湾モダンホラー。台湾に息づく呪術や原住民の伝説など、現代史の闇が怪異となって現れ、クライマックスは大きく盛り上がるエンタメ性の高い物語です。待望のアジア圏現代ホラーの邦訳でした」(朝宮運河)
【小説】ニードレス通りの果ての家
著:カトリオナ・ウォード/訳:中谷友紀子/2023年
行方不明になった少女を追い、精神障害のある容疑者を調査し続ける家族が直面した恐怖の真相。「主人公は“信用できない語り手”そのもので、様々な情報と噓や真が錯綜する特殊な構造です。猫視点の話もあるので、愛猫家にもおすすめ」(朝宮運河)
【漫画】ラクガキ~呪いの館~
原作:志名坂高次、作画:粂田晃宏/2022年
呪いの館に名前を書かれた者は死んで、書いた者は大切なモノを失う。そんな都市伝説がささやかれる洋館をめぐって勃発する殺戮。「怪異の方が良識があるのでは⁉と戸惑うくらい、性根の醜い人間しか出てきません。彼らの凄絶な最期は“絶景”です」(緑の五寸釘)
【漫画】切子
著:本田真吾/2015年
廃校になった中学校に、17年ぶりに集まった同級生6人。謎の死を遂げたみんなのアイドル、奥村切子を偲ぶ会でもあったのだが……。「久々の再会で渦巻く欲望、策略、そして怨念。平手打ちで人間を木っ端みじんにするなど、怨霊が物理的に暴れ回るさまは必見です」。続編『切子・殺』もあり。(緑の五寸釘)
【怪談】田辺青蛙「人形」
住職である大叔父から田辺さんへ送られてきたある人形。顔に描かれた口が開閉したり、怖いからと箱詰めにすれば声が聞こえてきたりと奇怪な存在。「田辺さんはこの人形と一緒に暮らしてるんです。だから現代進行中の怪談でもあります」(吉田悠軌)
【怪談】小原猛「ジュールクニチの話」
『不思議な子どもたち―琉球怪談 百絵巻』(ボーダーインク)収録
ジュールクニチとは、沖縄の特に離島で行われる、旧暦1月16日のお墓参り行事のこと。この日に現れた首なし女を追い払おうとするが……。「沖縄の風土が感じられる、小原さんならではの話。怖く悲しい話でもあります」(吉田悠軌)
【ゲーム】LITTLE NIGHTMARES‒リトルナイトメア‒
Steam、Xbox、PS4、Nintendo Switch/2017年
“胃袋”の異名を持つ巨大船舶にとらわれた小さな女の子シックスが、脱出を試みる。「シックスを執拗に追いかけ回す双子のシェフや不気味な首吊り死体など、主人公よりも遥かに大きな相手に追われる恐怖が体感できます」(人生つみこ)
【ドラマ】ドラキュラ伯爵
制作:マーク・ゲイティス、スティーヴン・モファット/英/2020年
BBCとNetflixが共同制作した作品。1話90分、計3話で描くドラキュラ伯爵伝説の新解釈。「ドラキュラはセクシーでダンディ、戦う女性たちもかっこいい。ファッションもイギリスならではで、目の保養にもいいです」(DIZ)
【ドラマ】ヒトコワ
監督:児玉和土/日/2018年/心霊ホラーではなく、生きた人間の怖さを描くドラマシリーズ。「殺人鬼や犯罪者などの恐ろしさが題材のオムニバス。8話の小倉優香さんが主演の『うらぎり』が好きです。YouTuberが主役の話で、テーマが現代的で今っぽさもある半面、普遍的な怖さもある作品ですね」(劔 樹人)
【アニメ】怪~ayakashi~
シリーズディレクター:今沢哲男ほか/日/2006年
フジテレビ系列「ノイタミナ」枠のホラー作品。新解釈した『四谷怪談』『天守物語』『化猫』の3作で構成。「『化猫』が有名ですが、推したいのは『四谷怪談』。脚本・小中千昭さんが原作者・鶴屋南北を語り手に、この物語が廃れない理由に迫ります」(藤津亮太)
【心霊ドキュメンタリー】Not Found‒ネットから削除された禁断動画‒
構成:古賀奏一郎、吉川久岳/日/2011年/アムモ98
過激すぎやプライバシーの問題でネットから削除された動画を紹介。「心霊系からグロテスク描写があるものまで網羅した投稿映像モノで、形式は『ほんとにあった!呪いのビデオ』と同じ。途中から、“ネットから削除された〜”というコンセプトとは関係ないものも増えるのですが(笑)、そこは自由度の高さということで。笑いあり涙あり恐怖ありの楽しい作品です」(皆口大地)
【お化け屋敷】別棟 あやしい「夜の学校」
怪しい少年少女博物館/静岡・伊東/無休
昭和レトロな人形やおもちゃなどを展示してサブカルチャーの聖地として名高い博物館で、お化け屋敷的な存在を果たしている。「暗闇におびただしい数のマネキンが並んでいます。人感センサーに反応して動きだすので、思わず悲鳴を上げてしまいます」(ジェットコ社会人)