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ハイエイタス・カイヨーテが8年ぶりの来日。サービス精神と並列の、創作への強い意志

新作『Love Heart Cheat Code』を発表し、現在ツアー中のハイエイタス・カイヨーテが、8年ぶりとなる単独公演を東京と大阪で行った。そんな彼らが、公演ごとに曲順を変える理由とは?

photo: Naoto Date / text: Katsumi Watanabe / edit: Emi Fukushima

ただの気まぐれかと思いきや、公演ごとに曲順が変わる理由

ネイ・パームのダイナミックな歌声と、ファンキーなアンサンブルで、日本のファンを魅了したハイエイタス・カイヨーテ。公演ごとのセットリストを見ると、少しずつ曲目が変化していることがわかる。アリーナ以上の集客のあるバンドとしては、少し珍しい。

ペリン・モス

今回はリリースツアーだから新曲が中心だけど、前回その場所で演奏したセットリストをチェックして、すでにやった曲を外し、まだ聴いてもらっていない曲をやるようにしているんだ。例えば、今回の来日公演なら2018年に出演したTAICOCLUB'18の曲順を見て、「Mellow Yellow Feel」を新しい曲と差し替えたりしてね。

ネイ・パーム

みんなが待ってくれている「Swamp Thing」みたいな曲は、もちろんやるから安心して(笑)。それから、サウンドチェックの時、みんなが好きな曲を持ち寄ってカバーしているんだけど、それがハマった時は、急遽セットリストに入ることもあるわ。

ペリン

それが大阪公演の時に演奏した、映画『キル・ビル Vol.2』に入っているマルコム・マクラーレン「About Her」。最近だと、デヴィッド・ボウイが主演した映画『ラビリンス 魔王の迷宮』のメインテーマもやったね。なんか映画の曲が多い気がする。

ネイ

逆境に立ち向かう主人公が好きなんだよね。ピンチに陥っても、頑張っている姿と自分を重ねているところがあるから。

ペリン

僕らのオリジナル曲だけど、日本の公演では「Laputa」をセレクトしたんだ。

ネイ

宮崎駿監督に影響を受けて作った曲よ。『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』など、環境への問題意識を、エンターテインメントの形で見せているのも素晴らしいと思う。影響はいろいろなものから受ける。

過去にアボリジニーの歴史を伝えたくて「Nakamarra」、オーストラリアの食文化から「Molasses」など、普段聞き慣れない言葉が題名になることもある。ただ、新作に収録されている「Cinnamon Temple」は、音節の区切りにハマるワードを当てただけだから意味はない。言葉遊びだから、詳しく聞かないでね(笑)。

ハイエイタス・カイヨーテ
左から、サイモン・マヴィン(Key)、ネイ・パーム(Vo)、ペリン・モス(Dr)、ポール・ベンダー(Ba)。
〈Brainfeeder〉から発表された4枚目のアルバム。オーケストラをバックに、ネイのシャウトが切ない「Dreamboat」、Spotifyで500万再生を記録した「Everything's Beautiful」など、全11曲を収録。

キラキラのスターになっても、礼儀正しさは変わらず

新幹線の遅延により、取材時間も大幅に変更。待機していると、キラッキラ衣装のネイ・パームからの「大スターみたいな登場で、本当にごめんなさい!」という謝罪から、取材がスタート。

「大阪へ移動したのがハロウィン当日。猫耳を着けて参加したけど、メンバーから“ステージ衣装の方が仮装みたいだよ”と言われて(笑)。時には別の自分になることも大切よね」(ネイ)

ハイエイタス・カイヨーテ