完璧な演奏と人間らしい偶発性の共存
大人っぽくてかっこいいという安直なイメージでジャズを聴き始めましたが、その挑戦的な姿勢に魅了されて高校時代は〈disk union〉の新宿ジャズ館に入り浸るようになりました。ジャズを聴いていると、プレーヤーの体が全体の時間軸を繋ぎ留めているように感じるんです。
だからこそ一曲の中でスタイルの異なる演奏をしても違和感なく成立する。この点は、デジタルで整えた音と鍵盤で弾いた音をつぎはぎして制作する私の音楽にも影響を与えています。完璧な演奏の中に、人間らしい偶発的な揺れが起こる瞬間があるんです。その共存がジャズの面白さだと思います。