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源泉掛け流しと一汁五菜玄米食で「養生」体験。名湯の宿、箱根〈養生館 はるのひかり〉

「七日一回りで三回り」が理想とされる湯治も、現代のライフスタイルに沿うように変化。1泊2泊でも、心身を回復する環境がある。

初出:BRUTUS No.858『温泉♡愛』(2017年11月1日号)

photo: Tetsuka Tsurusaki / text: Akiko Nokata

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養生館 はるのひかり(箱根湯本温泉/神奈川県)

源泉掛け流しの温泉と
一汁五菜玄米食で「養生」体験

江戸時代にベストセラーになった貝原益軒の『養生訓』を紐解くと、「養生とはすなわち、人が正しく生きる道。何をどう食べるかなど、健康に留意して、めぐりのいい体づくりを目指す」とある。

宿名に「養生」を掲げ、「逗留湯治」をテーマに2015年にリニューアルオープン。現代湯治ができる宿として評判が広がり、働き盛りの男女が予約しリピートする。人気の理由は「気軽さ」と「開放感」、そして「食」にある。

「気軽さ」はまずはアクセスの良さで、新宿から小田急ロマンスカーに乗れば約1時間半で箱根湯本温泉に行けること。

到着時のスタッフによる案内が終わると、その後は食事以外、ほったらかしにしてくれる。この「開放感」が心地よい。温泉三昧するもよし、読書室に籠もるもよし、昼寝も仕事も好きなだけできる。

湯守兼支配人の米山雄二郎さんは、「ゆっくり滞在していただきたいから、逗留(連泊)を推奨しています」と話す。米山さんは大学で農学を専攻し、発酵食にも詳しい。自家菜園で野菜も作る。

ということで、宿一番の魅力は「食」である。夕食は、無農薬野菜を使った玄米菜食。朝採れや近隣農家から仕入れる野菜はどれもみずみずしく、色も味も濃い。一部料理に使用する味噌や醤油も自家製で体に優しいものばかり。よく噛むことで満腹感が得られるが、微発芽玄米ご飯、デザートまでついて500kcal未満の料理に唸る。

温泉は源泉掛け流しの浴場が2つある。温度差を設け、まずはぬる湯に浸かることで自律神経系の副交感神経を刺激してリラックス効果が高まる。そしてあつ湯で交感神経を刺激する。交互に繰り返すことで、免疫力がアップするという。

滞在客の多くは首都圏在住。疲れたら、すぐに出かけられて休めるのが嬉しい。

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