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ペンドルトンのお祭りを訪ねて。花井祐介×高橋ヨーコの旅

アメリカ西海岸のポートランドから内陸に車で約3時間。人口約1万7000人のペンドルトン市で1910年から毎年開催されるお祭り『ペンドルトン・ラウンドアップ』。アメリカを代表するロデオイベントで、ネイティブアメリカンの文化を継承する大切な場所になっている。このイベントのため造られたスタジアムには、毎年9月第2週に全米各地から約5万人が集まる。

photo: Yoko Takahashi / text: BRUTUS

アメリカ・オレゴン州で110年以上続くお祭り『ペンドルトン・ラウンドアップ』を訪ねた

オレゴン州といえば、ウールのブランケットやシャツで有名な老舗ブランド〈ペンドルトン〉が有名。現在では本社をポートランドに構えるが、ここペンドルトンこそがその名の通り、ウーレンミルズ(紡績工場)発祥の地だ。アメリカにおいて160年の歴史を持つ会社だけに、国内最古のアパレルブランドと言える。

この地域は人口比率で言うと圧倒的に白人が多いのだが、もともとはネイティブアメリカンのいくつかの部族にとっても大切な場所で、居留地が残っている。ゆえに、互いをリスペクトし合いながら良い風土を保っている。それを象徴するのが、『ペンドルトン・ラウンドアップ』というお祭り。大きく分けて「ロデオ」と「ネイティブアメリカン」のプログラムで構成される。

このイベントの存在を知り、参加したいと願っていたアーティストの花井祐介と写真家の高橋ヨーコが、念願かなって2023年の9月に現地を訪問した。花井は今回で2回目となる〈ペンドルトン〉とのコラボレーションで、ブランケットを制作。そのデザインを仕上げる前の、最後のインスピレーションを求める旅だという。実際の工場見学や制作過程はこちらの記事に掲載している。

〈ペンドルトン〉のブランケットを再び手掛ける花井祐介と、ウーレンミルズを訪問

「昔からシャツが好きでよく着ていました。工場に足を運ぶのも2回目なんですが、今回はお祭りに合わせての参加なので、ネイティブアメリカンの伝統に触れる貴重な機会になりました」(花井)。

踊りを披露したり、裸馬に乗ったり、ビューティコンテストで美しい衣装やジュエリーで着飾ったり……。時に彼らとも言葉を交わし、理解することは、花井のクリエイションに刺激をもたらした。旅に同行した高橋も振り返る。

「ロデオの大会を観たり撮影したりするのが好きで、以前にも別の大会に行ったことがあるんですが、とにかく迫力がすごい。今回もアメリカンカルチャーの奥深い魅力に触れられた気がします」。その言葉通り、撮影された大量の写真には、美しいアメリカが記録されていた。

工場で迎えてくれたのは、5代目社長のモート。ブランケットの柄の由来について説明してくれた。

帰国後2人は、ブランケットの発売に合わせて写真展を開催することを決意。高橋は多くの写真の中から厳選した写真を展示する。同時に制作したZINEには、写真の選定だけでなく、レイアウトから、造本まで自らが関わる。特別参加した花井の絵もお楽しみに。