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スローな時間でカルチャーに浸る
「まず、ヴィンテージの釣具を置いている専門店に行って、自分の好きなデザインの道具を探してみてください。ヴィンテージは特に見た目がかわいい子たちが多いので、そういう感覚で気軽にはじめた方が楽しく長続きすると思います」と久戸瀬崇裕さんは語る。
バイブルは、『トップにこだわる男たち』(枻出版社)と題した一冊。そこには、“必ず釣らなくてはいけない”という概念はなく、ボートの上でアコースティックギターを弾いたり、ヴィンテージの道具で気ままに釣りを楽しむ大人たちの姿があった。そのスタイルに憧れて、20歳の頃に所有していた新品の釣具はすべて売却したという。そこから17年間、各地のヴィンテージ専門店や古道具屋さんを巡り、地道にルアーや竿などを集めてきた。
「今日は釣れなくてもいいから、どうしてもこのルアーを使おうと決めて、一日中同じものしか投げない日もあります」と久戸瀬さん。休みができたら出かけるというスローな釣り。我が子のように大事にしている道具とともに、楽しみ方を教えていただきました。
久戸瀬さんが集めてきた釣り道具
コツコツ集めてきた道具に対する愛情は人一倍。だからこそ、貴重なものでも飾って手元に置くだけではなく、時間をともにすることを大事にしている。
「ヴィンテージのコレクションとして大切にしまっておくのももちろん良いと思いますが、道具として生まれた本来の目的を果たしてあげることが、この子たちにとっても幸せな気がします。自分の手に渡ったのが何代目なのかわからないけど、僕は傷でさえ愛おしいと感じる。
ヴィンテージと聞くと、ハードルが高いように思いますけど、釣り人は話好きな方が多いので、勇気を出して専門店に行ってみてください。一つ質問したら百返ってくるくらい、みんな快く教えてくれます。釣り糸を垂れれば、気の合う仲間たちとお気に入りの道具で釣りをする心地よさがわかるはずです」