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グルマン温故知新:目黒〈トキ〉名店の系譜を継ぐ一品から、創作まで自在に

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「令和的町中華」。デイリーに通え、特別な日にも使える中国料理店が目黒にオープン。注目すべきはそのユニークなスペシャリテ。黒毛和牛を多用したメニューにオリジナルの麻婆豆腐やまぜそばなどバラエティ豊か。日本ならでは、の進化型を表現する1軒。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

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トキ(目黒)

名店の系譜を継ぐ一品から、創作まで自在に

店主は、恵比寿〈マサズキッチン〉などで料理長として活躍した常勝広シェフ。カウンター主体のワンオペ中華ながら、昼夜ともコースあり、アラカルトもあり。ワインに紹興酒、日本酒と、お酒の選択肢も十分で、夜は酒場的に楽しめる。中国茶も豊富でノンアル派にも優しい。

メニューはよだれ鶏や海老(えび)チリ、黒酢酢豚など安心安定のスタンダードと、「海鮮入り黄色い麻婆豆腐」といった見た目にも味わいにも驚きがある創作料理が半々。化学調味料は使わず、素材の味や香りとスパイスで、軽やかに仕上げている。

上海風やタイ風、山椒風味のまぜそばなど、魅力的な麺料理もバラエティ豊かで、全制覇したくなる。コースは時季の食材ありきだが、予約時の注文でふかひれの姿煮も追加できるなど、ワンオペとは思えないスペックの高さ。小箱中華もおまかせコース全盛の時代に、食べ手目線で考えられた自由度の高さが嬉しく、通いたくなる一軒だ。

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