てのしま(青山一丁目)
日本料理を身近に。“みんなの和食”あらわる!
店主の林亮平さんは京都の老舗料亭〈菊乃井〉出身。本格的な日本料理=懐石料理、懐石料理=高級。そんな世間のイメージを払拭しようと¥10,000のコースで目指すのは、ハレとケの間にちょうどいい身近な和食店だ。
9品からなるコースは、前菜、お椀、お造り、魚料理、満足度を高める肉料理もあり。決めの一手は、てのしま寿司だ。季節感のある三角のいなり寿司に、締め加減も抜群な棒寿司2種の3点盛りでインパクトは絶大。シャリは江戸好み、仕立ては京都。そのセンスが林さんらしい。
〆のにゅうめんは「お吸い物」の位置づけ。ハレの食材である昆布でなく、ケのいりこだしを使用。修業時代、伝説の料理長に学んだ「お椀のルール」に則り、味が一番わかるという料理の寸法(口中体積)と器の大きさも考慮し、旨味たっぷりのだしでシンプルに食べさせる。
現代的に表現した日本料理を「肩肘張らず、カジュアルに」と林さん。願ったり叶ったり。