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グルマン温故知新:四谷三丁目〈荒木町 たつや〉滋味深く、自腹で通えるカウンター割烹

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「和食・荒木町・カウンター」。年に一度の贅沢よりも、月に一度日常で通える店。そんな財布に優しい和食店が由緒正しき飲兵衛タウン・荒木町で開店した。神楽坂の3ツ星店出身の折り目正しい和の職人が荒木町に新風を呼んでいる。

Photo: Keiko Nakajima / Text: Taketoshi Oonishi

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荒木町 たつや(四谷三丁目)

滋味深く、自腹で通えるカウンター割烹。

3ツ星店、〈神楽坂石かわ〉系列から初めて独立を許された男。〈荒木町たつや〉の店主・石山竜也さんは大きな期待と触れ込みとともに店を構えた。が、気負わず10年、20年続けられるよう、店選びにじっくり約3年を費やし、荒木町路地裏に植栽を備えた路面店を手に入れた。店は1人で切り盛りできるカウンター、さらにコースは¥7,500一本。高級店〈石かわ〉とは一線を画すスタイルだ。

食材も日本酒も日本ワインも、日本各地へ赴き、生産者と対話を重ね吟味する。作り手を知っているから、野菜や魚を切れ端や根まで大切に使う。食材の旨味を余すところなく抽出するエキスを、カツオと昆布のだしに織り交ぜつつ、端正な割烹料理に仕上げる。塩以外、調味料はほとんど使わない。旨味がじんわりと残る滋味深さが印象的だ。

実直すぎるとも映る店主が生む、体にも財布にも優しく、ずっと通いたいと思える和食店が、荒木町の路地裏に生まれた。

四谷三丁目〈荒木町 たつや〉店主・石山竜也さん。
長く続く店にしたいと、あえて落ち着きある路地裏を選んだ石山さん。
四谷三丁目〈荒木町 たつや〉店内
座り心地を100脚以上試した椅子などこだわり満載。

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