鮨ひがし（東長崎）
地域密着型、日常に寄り添う町寿司の新星
店主の東山淳二さんは、料理上手な父の影響で料理人の世界へ。ホテルの寿司店やイタリア・ローマでは割烹も経験。その後、中野〈鮨せいざん〉で客と距離感の近い町寿司に魅了され、「本物の寿司を気軽なスタイルで提供したい」と開店に至る。
全面ガラス張りのオープンな外観にビストロ風の内観も個性的だが、ぬきんでているのが価格帯。おまかせ会席は先付けに続いて季節の茶碗蒸しやお浸し。ウナギの白焼きや大トロの串焼きとごちそう級の品もあれば、ちょっとした漬物がツボを突く。
握り
通常は1貫ずつ提供される。左から、マグロ専門仲卸〈やま幸〉の中トロ、脂がのったアジは薬味を添えて、甘味のある車エビ、漬けにしたマグロ、ふっくらと炊き上げたアナゴ。客の腹具合と好みに応じて酢飯の大きさを加減してくれるこまやかな心遣いもうれしい。料理はすべておまかせ会席6,600円から。
お造り
豊洲市場に足を運び、目利きした旬の魚をお造りで。この日は〈やま幸〉の中トロとイサキ。「5月末から7月頃の時季は梅雨イサキと呼ばれるほどおいしくなる」と東山さん。炙（あぶ）りなどひと手間かけた魚も楽しみの一つ。
茶碗蒸し
「毎朝丁寧にとっただしを生かしてクリーミーな食感に仕上げます」の言葉通り、舌触りは滑らか。この日は炙った金目鯛と梅肉を合わせ、銀あんをプラス。これからの時季はトウモロコシや毛ガニとイクラなども登場する。
握りは白身から貝類、自慢の中トロで波を作り、塩で食べさせるイカ、漬けマグロ、ウニとイクラは小鉢で合い盛りに。終盤はアナゴで第2波を作ってタマゴとすまし汁でしまいにする。「赤酢と黒酢と米酢をブレンドした、食べ疲れしないシャリです」と東山さん。日本酒もこなれた品揃えで、満足いくまで堪能しても1人1万円でお釣りが来る、今どき超貴重な一軒だ。
試飲会や酒店に足繁く通い、日本酒に力を入れる東山淳二さん。 
タイルやダークオークを使ったカウンターは居心地よし。
