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グルマン温故知新:西麻布〈天ぷらとワイン しの〉軽やかな天ぷらを、選りすぐりのワインと

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「気軽に天ぷら、アラカルト」。天ぷらといえばおまかせコースが主流だったが、アラカルトで好きなように楽しめる新店がお目見え。正統派かつ繊細な天ぷらとフランス産ワインを楽しませる、気分まで揚げてくれる期待の1軒です。

photo: Yoichiro Kikuchi / text: Mamiko Kume

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天ぷらとワイン しの(西麻布)

衣が薄く軽やかな天ぷらを、選りすぐりのワインと

大きなまな板皿に並べられた季節の野菜や山菜はその数20種ほど。白木の箱には新鮮なエビやアナゴ、ホタテ、稚アユなど旬の魚介がずらりと並ぶ。そこから選んだ素材を一つずつ丁寧に揚げたアラカルトや、ほかの一品料理と組み合わせたコースにも仕立ててくれるのがこちら。

カウンターに立つ篠 彰喜(しの あきひさ)さんは〈山の上ホテル〉や〈東京ベイコート倶楽部〉で和食の腕を磨き、銀座の創作料理店を切り盛りしてきた実力派。天ぷらはワインとの相性を考え、軽さと白さを追求する。揚げ油は太白胡麻油に綿実油をブレンドして香りを控えめに。衣は黄身が白い卵を使用する徹底ぶりだ。

オリジナルの配合でブレンドした自家製の塩は当たりも柔らかく、そばつゆの返しで作る天つゆも雑味がなくまとまりがある味わい。同じ天ぷらが全くの別物と感じられるほどで、和食での確かな経験がものをいう。

「2軒目使いにもどうぞ」と言う、懐の深さもありがたい。

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