Santépices(門前仲町)
香り立つ料理を、6席のカウンターで
地元の人が日常使いする大衆中華や蕎麦店が並ぶ下町の住宅街に、町の外からも人を呼ぶ店が誕生した。カウンター6席を一人で切り盛りするのは沼田大貴シェフ。
専門学校時代にフランスで1年学び、東京ではビストロからパティスリーまで幅広く修業。独立前に勤めた新富町〈ビストロシンバ〉で、スパイスが香る料理に衝撃を受け、そのスタイルを踏襲している。
今の時季、冷製のスープには、レモンの皮やカルダモンで爽やかさを添え、魚介の温かい前菜はターメリックなどのブレンドスパイスで、エキゾティックな味わいに。スパイスのみならず、魚料理には高知県産のスジアオノリで磯の香りを添えるなど、表現は多彩。
コースにメリハリが生まれ、ワインに寄り添う味になる。ワインは修業時代から親しむナチュラルが基本。東東京のナチュラルワイン激戦区、水天宮前や清澄白河なども徒歩圏内とあって、新たな人の流れ、町の動きを生みそうだ。