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グルマン温故知新:三越前〈Murena〉最高の牛肉をイタリア料理の技術で焼き上げる

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「夜の日本橋、いい肉はコースで」。かつて東京・日本橋には魚河岸があった。今に続くカツオ節や海苔(のり)の専門店などもその名残。令和の今、熟成肉の匠が手がける肉を楽しめるイタリアンなど、肉料理のよき店が増加中。今回は日本橋で牛を食そう。

photo: Yoichiro Kikuchi / text: Michiko Watanabe

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Murena(三越前)

最高の牛肉をイタリア料理の技術で焼き上げる

通りに面したガラス戸が入口かなと思って引いてみるが、開かない。実は入口は横っちょにあるドアだった。トリッキー。

シェフは専門学校を卒業後、大阪は靱(うつぼ)公園にあった〈ラ・ムレーナ〉(ムレーナはウツボの意)で約5年修業。22歳で上京し、何軒か学びを重ね、32歳で渡伊。1年滞在し、帰国。再び渡伊し、3年。で、トータル4年、イタリアをぐるぐる巡った。イタリア料理は郷土料理の集合体といわれる。地方によって、また、時季によって変わる料理を食べに食べた。

その後、縁あって、有名シェフたちも全幅の信頼を寄せる滋賀の名精肉店〈サカエヤ〉の主・新保(にいほ)吉伸さんが営むレストラン〈セジール〉のシェフに。自分の店を開いた今も、新保さんの手当てした肉を扱う。手当てが名人なら、焼きも巧み。嚙むほどに旨味が増してくる。肉はもちろんだが、野菜料理もおいしい。コースもいいし、遅い時間のアラカルトもよさそう。

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