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グルマン温故知新:三越前〈L'appétit〉洋食の親しみとフレンチの満足感

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「ニュアンスのあるビストロ」。ベースはシンプル、王道。でも鮮烈なスパイス使いや洋食との掛け合わせで、味の印象はぐっと鮮明になる。キャラの立ったビストロの新店が東京の東側に相次いで登場し、早くも話題に。ディナーコース1万円以内、ワインの提案も楽しい。お見逃しなく!

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

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L'appétit(三越前)

洋食の親しみとフレンチの満足感

骨格のしっかりしたフランス料理と洋食の楽しさが一つに。ありそうでなかった店の仕掛け人は、東京・日本橋のフレンチ〈ラぺ〉のオーナー松本一平シェフだ。若き日に修業を経験し「自らの原点」と話す洋食の味を新しい形で表現している。

メニューには、馴染み深い洋食の料理名が並ぶ。見た目もシンプルだが、豚足や豚耳などのアバ(内臓)を加えたメンチカツの口溶け、ドリアに潜むクラシックなソースの濃厚さなど、味わいは確かにフレンチ!ワインは王道のマリアージュが揃うペアリングで間違いなし、ノンアルコールの提案も秀逸だ。

厨房はフランスで3年修業し、〈ラぺ〉でスーシェフも務めた廣瀬翔太郎シェフが仕切る。付け合わせの野菜の酸や香りの効かせ方など細部までガストロノミーの技が生きた味も、経歴を聞けば納得。新メニューの考案にも意欲的だ。遊び心があり、満足度は高く、立地を考えれば驚く良心価格。通いたくなる。

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