Eat

Eat

食べる

グルマン温故知新:池尻大橋〈日〉日本酒を身近に、酒場の文化を未来に

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「和酒な気持ち」。革新に古典回帰と、酒蔵、焼酎蔵が未来を見据えた進化を続けるのに呼応し、和酒をさまざまに楽しませる店が増えている。注目の新店は、居酒屋、古典酒場を革新しつつ、文化を伝える心意気が光る。現代の和酒の嗜(たしな)みを、ここから。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

連載一覧へ

日(ひ)(池尻大橋)

日本酒を身近に、酒場の文化を未来に

日本酒をロックにして、スダチを加える。トニックウォーターで割ってみる。自由な発想とほんの一手間で日本酒をもっと楽しくする「日本酒遊び」がテーマ。

日本酒を飲むシーンをより広く、若い世代へも。思いは、焼酎や一升瓶ワインなどの和酒全般、ひいては日本の酒場文化の継承につながっている。

カウンターで一人、美酒を嗜んで思考にふけったり、隣り合った人と会話を交わしたり。粋な大人の憩いの場を未来へ遺す試み。BGMはレコードで流すジャズや昭和の歌謡曲で、ギリギリまで抑えた照明も、すっきりとモダンな店内に艶やかな輪郭を与える仕掛けになっている。

カウンターに立つのは、門前仲町〈酒肆一村(しゅしいっそん)〉をはじめ、東京と福岡の名酒場で腕を磨いた西田憲哉(のりや)さん。中華やインド料理のスパイス使いも応用し、酒場のアテや締めに落とし込む。

聞けば自身も無類の酒好き、酒場好き。飽くなき探求心と酒場愛が、ちゃんと味に生きている。

連載一覧へ