701（新御茶ノ水）
ゆったり落ち着いた大人の雰囲気と料理
映画『すずめの戸締まり』の聖地巡礼で賑わう聖橋（ひじりばし）。その隣のお茶の水橋を渡って、外堀通りを秋葉原に向かってトコトコ下っていくと、ポッと真っ赤なキャノピーが現れる。白い文字で「nanamaruichi」と書かれている店が〈701〉だ。
「里山牛の炭火焼き」
鹿児島産の黒毛和牛「里山牛」のサーロインを備長炭で焼き上げたもの。里山牛は耕作放棄地で自然放牧され、自家製の飼料で大切に育てたもの。サーロインだが、あっさりと歯切れがいい。ジュニパーベリーの香りを添えた、山ブドウとバルサミコのソースでいただく。渋皮付きの栗の素揚げを添えて。
「甘エビのフリット&タルタル」
フリットの下には、マスカットを細かく切って、レモンとマスタード、オリーブオイルで和えたソースが。〈唐津海〉の国産からすみを散らして。タルタルの方は巨峰と和えてモッツァレラと甘エビの卵を散らしてある。
「ズワイ蟹と九条ネギの自家製タリアテッレ」
栃木（シェフの出身地）の小麦粉タマイズミで打ったタリアテッレ。オリーブオイルでニンニクを炒め、香りが出てきたら蟹（かに）の身を投入。蟹から出る旨味をパスタにたっぷりと吸わせて、自家製ゆずこしょうで風味づけを。
なんで701かというと、オーナーシェフが直井（7＝な、0＝お、1＝い）さんだからだそう。直井一寛シェフは〈キャンティ〉で10年研鑚を積んだあと、さらに〈アクアパッツァ〉で5年、国内でキャリアを重ねたベテラン。
料理は昼も夜もコースのみ。どの一品も丁寧な下ごしらえと、心配りの行き届いた調理で、安心の味わい。最後の最後まで、満足させてもらえる。厨房だけでなくサービスも、直井シェフと竹屋剛シェフの2人がこなすのもいい感じである。
店内奥の窓からは、御茶ノ水駅が見渡せて、丸ノ内線や中央線の電車の往来がよく見える。食いしん坊だけじゃなくて、鉄道好きも喜びそうだ。
直井さんはサービスマンとしても優秀。 
窓の外には線路が。休日の昼にゆっくり訪ねて、電車を見ながら食事をしたい。
