Malbon Golf
ストリートの感性をグリーンでも発揮
「僕は毎日プレーするくらいのゴルフ好き。でも、大型ゴルフチェーン店に行っても、買いたいものが全くなくてね」。そう話すのは今、あらゆるブランドからコラボの声がかかる〈マルボン・ゴルフ〉創設者のスティーヴン・マルボン。
ティーンエージャーの頃からゴルフに没頭していた彼は〈ステューシー〉のトラウザーに〈ラルフ ローレン〉〈A.P.C〉といった格好でずっとグリーンに立っていたという。「襟付きのシャツを着てタックイン、ベルトを着けるといったエチケットには敬意を払っていたけれど、あくまで普段着だったんだ」。
長年仕事を通して音楽、アート、ファッション、スケートといったコミュニティに根を下ろしてきたスティーヴンは、ゴルフはクールじゃないと痛感せざるを得なかったともいう。それでも愛はやまず、インスタグラムをムードボード的に使い、ゴルフに関するコミュニティを模索しているうちに〈マルボン・ゴルフ〉が誕生する。
「ゴルフの重苦しい雰囲気を取り払って、遊び心のある、独自性や個性が発揮できるような服、ギアを意識しているよ」。グリーン上の格好のまま、街に出かけられる日が到来した。
Metalwood Studio
“黄金期”をインスピレーション源に
「うっかりオープンして、1年が経ったよ(笑)」と冗談交じりに話す〈メタルウッド・スタジオ〉を立ち上げたコール・ヤングは、ゴルフに関しては真剣そのもの。
「大学までアスリートレベルでゴルフに取り組んでいたけど、プロにならずとも何らかの方法でこの世界で生きていけるよう考え抜いた結果、ブランドが生まれたんだ」。〈メタルウッド〉が注目する1990年代から2000年代初頭は、ゴルフ界がまだアスリート全盛になる前のこと。プロゴルファーの体格もひとまわり大きく、ビールもたばこも日常だったという。
「ゴルフがまだレジャー的な要素を大いに持っていた時代で、そこに僕らは面白さを見出したんだ。一方で、テクノロジー的には進化真っただ中だった時代。テレビのコメンテーターが“メタルウッド?ウッドウッド?フェアウェイウッド?”と新しいクラブの言及にも戸惑っていたっけね」。
膨大な知識を持つコールはオンラインTVの『SKRATCH』でゴルフクラブの歴史を掘る番組も作っている。店内限定でラインナップするヴィンテージ品に、リペアやレンタルなど、本格派ならではのサービスが光るブランドだ。
Quiet Golf
ゴルフ周りのなにげないデザインに注目
「ちょうど1年前にポップアップショップを企画して、ニーズがあることを確信したんだ」。そう話す〈クワイエット・ゴルフ〉創設メンバーのラウル&ディエゴ・ディアズ兄弟はアパレル、デザイン、建築などのバックグラウンドを持つ。
友人のクリスチャン・レノンとタッグを組んで、ゴルフの持つ伝統と歴史にオマージュを捧げるべくブランドを立ち上げた。「コースの設計もだけど、クラブハウスのデザインやサイネージも含め、ゴルフの建築的要素にとても惹かれるんだ」。彼らのウェブサイトには、自分たちが足を運んだゴルフ場の美しい写真録が日記的にアップされていて、ゴルフの周りにある美しいデザインに気づかされる。
「クリスチャンのお父さんがプロとしてコンペに出たりコーチをしていた、という背景はあるけれど、僕らがゴルフに打ち込み始めたのは3、4年前のこと。普段の忙しさから離れてゴルフをしていると“今、ここ”の感覚が研ぎ澄まされる。ゴルフは、よりクリエイティブなことに取り組めるチャージの時間でもあると思う」。
コンテンポラリーな素材を積極的に起用し、ゴルフ周りのデザインを再構築している。