ハードだけでなくソフトから建築を考え、都内を中心に数々の居住空間や店舗を手がけているクマタイチさん。クマさんの自室もあるシェアハウス〈SHAREtenjincho〉の最上階には、住人たちが料理や食事をしたりくつろいだりするシェアリビングが広がっている。
ところがある日、誰かがテレビスペースにゲームを置き、コントローラーだけ持って集まる住人が出現。いつの間にか「ゲーミングリビング」へと変化した。
この日の参加者は建築家2名とエンジニアとミュージシャン。「やっぱマリオカート?」「だよね」──。
「みんなで集まってパーティゲームしよう!みたいなノリじゃないのがいいんです。なんとなく始まって、いつ参加してもどのタイミングで抜けてもいいドライな場。ご飯を食べながら観戦するだけの人もいます」
クマさんいわく、ゲームはハードルの低いコミュニケーションツール。
「ゲームをしながらだと、近況報告も深い話も、さらっと言えちゃったりする。何もしゃべらなくても気まずくないし、外国の人ともコミュニケーションしやすいんです」
そんなクマさんの仕事にも、ゲームは影響を与えているのだろうか?
「子供の頃からゲーム三昧だったから、物語性のある建築やみんなが参加しやすい空間が好きなところは関係しているのかも。例えばマリオって、ゲーム自体は単純ですが、マリオという“人を巻き込む顔”があるから面白い。建築でも人を動かし、人と人、人と街をつなぐには、そういう顔が必要かと思います」