ポーカーを日本のカルチャーに
渋谷駅から徒歩5分、若者で賑わう通りの一角の、モダンなビルの3階に目当ての施設があった。エレベーターの扉が開き目に飛び込んできたのは、50人以上のポーカープレイヤーだった。正直、平日の昼間にこんなに多くのポーカープレイヤーが日本にいるとは驚きしかない。
この施設の名は〈ROOTS SHIBUYA〉。2021年6月にオープンした国内最大級のポーカールームで、ギャンブルではなく、純粋にポーカーゲームを楽しむための場だ。これを手がけたのは、プロポーカープレイヤーで登録者62万人を誇るYouTuberとして人気の“世界のヨコサワ” と、相方で株式会社POKER ROOMの代表を務めるひろき氏。
〈ROOTS SHIBUYA〉を運営する〈POKER ROOM〉が掲げるコンセプトは、「ポーカーを日本の文化にする」ことだという。日本では、あまり馴染みのないポーカーだが、世界中で1億人以上のプレイヤーがマインドスポーツとして楽しんでいる。
実際にカジノの本場ラスベガスでは、老若男女がごく日常的に遊んでいる光景を目にする。そういう意味では、“博打”としてステレオタイプに認知されている日本では、“ポーカー”が正しく理解されていない。
プレイヤーを盛り上げる
本場ラスベガススタイルの空間演出
入り口のキャッシャーで受付を済ませ、予約していたビギナーズゲームに参加してみた。ちなみに、この施設では、アプリを通した予約制のため、基本的には飛び込みでは遊べない。ビギナーズゲームでは、ディーラーが講師となりテキサスホールデムのゲームのルールと流れを教えてもらう。
一緒にテーブルを囲んだプレイヤーは20代の男女と、アラフィフの自分を入れた8名。みんなスマホのアプリでポーカーを覚えたという。日本では、主に会社経営者や投資家が、ポーカーを楽しんでいるというのを聞いたが、まさか、こんなにも若い世代がポーカーにハマっているとは驚きだ。
真新しいラシャが敷かれたテーブルは、ラスベガススタイルの特注品で、こだわったという椅子の座り心地も抜群だ。オリジナルのチップも本場と同じく扱いやすい重みがある。
プレイ中に飲食をする際は、アプリで注文。オリジナルカクテルや、ハンバーガー、パスタといった有名店監修のメニューが味わえる。まさに至れり尽くせりのラスベガススタイルだ。
プレイして感じたのは、ゲームの進行の早さと、常に自分のハンド(手札)に対して判断を求められるため、集中力と決断力が不可欠だということ。日本の法律に則り金銭のやりとりこそないが、カードをめくるスリリングな瞬間に魅了され、あっという間にレクチャー&ゲームが終了。
日本のカジノ構想は、一向に進む気配がないが、まずは、カジュアルに〈ROOTS SHIBUYA〉で腕を磨き、ラスベガスでプレイすることを目標にポーカーを学んでみてはいかがだろう。