インディーゲームをアートに触れる感覚で。クリアだけが目的じゃない多様さが面白い
物心ついた頃には、常にゲームがそばにありました。流行りのタイトルをスーパーファミコンで遊んで、とにかく熱中して。でも、高校生くらいからはほかのことに興味が湧き始め、一度ゲームからは離れてしまったんです。
再開したのは、そこから随分と時間が経った4、5年前のこと。仲のいい友人から、インディーゲームというジャンルを教えてもらったのがきっかけです。資本にとらわれず、少人数で制作しているのに高クオリティ。キャラクターの動き、背景のグラフィック、文字のデザインなど、モノ作りを生業(なりわい)にする一人として、共感する部分が多かったんです。
それからはNintendo Switchを買い、仕事場で『スプラトゥーン』シリーズなどの大作もプレイしながら、インディーゲームを変わらずチェックし続けています。作業の合間、ふと気がついたらゲーム画面を開いていることも。日常的な存在です。
魅力の一つは、王道ゲームのセオリーから外れまくっていること。クリアすることが前提でなかったり、10分程度で終わったり、チュートリアルや説明が一切なされなかったり。だから、「ビジュアルは良いけど、面白くない」と感じる人もいると思います。
でも僕は、それを言ったらおしまいかなって。例えばコンセプチュアルアートという、考えかたそのものが芸術とされる分野がありますが、それに対して鑑賞者が「訳わからん」と言ったら、そこで話が終わってしまう。視点を変えれば、全く異なる楽しみ方ができるのがインディーゲームだと思うんです。
最も印象に残っているのは最も困惑させられた作品
『Kentucky Route Zero』は、僕を最も困惑させた作品。キャラを動かしてストーリーを進めるアドベンチャーゲームですが、まず風景のアングルが引きすぎで、どこを操作しているかわからない。と思ったら、いきなり鳥に連れ去られ、何もできない状態が続く。
でもすべての構図が、ゲームというより映画的。そこに作者の美意識が感じられるし、僕はそういうところを楽しんでいる。映画や小説、アートに触れる感覚に近いのかもしれません。
オオクボリュウがおすすめする3作品
Lieve Oma(2016)
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TET(2023)
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ISLANDS:Non-Places(2016)
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