永遠に終わりが来ない、どこまでも自分を成長させてくれる音ゲー
以前、配信中にファンの前で号泣したことがあったんです。「子供が生まれたら、きっとゲームとの関わりかたが180度変わって、実力も落ちちゃうんだろうな」と不安になって。実際もちろんゲーム一筋の生活ではなくなったけど、意外とできているんですよね。出産直後はむしろ、ゲームの存在がすごく救いになっていました。
子育てって本当に閉鎖的なんです。抱っこしながら片手でできるスマホゲームや、1戦5分で終わる『ポケモンユナイト』にハマって。それまでは『Apex Legends』とかのオンラインゲームをよくやっていたんですけど、そうした一時停止できないゲームではなく、子供が泣いたらすぐに離脱できるゲームを選ぶようになりました。
出産前まではただ楽しいからゲームをしていたけど、育児が始まってからは、ご褒美のように感じています。
子供が2歳になった今は時間を作りやすくなって、寝かしつけてからがフリータイム。私の“城”と呼んでいるゲーム部屋で配信をしたりして楽しんでいます。私は“城”の環境をいかに良くするかに命を懸けています。FPSや音ゲーなど、スキルをシビアに要求されるゲームにおいては、やっぱり環境がめちゃくちゃ大事なんですよ。
特に音ゲーでは、目線の高さが最重要ポイントです。ゲーセンでは立ってプレイするけど、家庭では座ることが多いですよね。なので配置はもちろん、床からコントローラーまでの距離や、モニターの高さなどを全部調べて、上下に動かせるモニターアームも設置して。環境をアーケード版に極力近づけられるようにこだわっています。だからゲームによっては専用コントローラーも購入しますね。
『beatmania IIDX』(以下『ビーマニ』)からはコントローラーがたくさんリリースされていて、私は4つくらい持ってるんです。今日持ってきた最上級のアケコン(アーケードコントローラー)は、操作性が最高です。やっぱりコレじゃないと。
音ゲーの魅力を一言で言うと、エンディングがないところ!終わりがないから、突き詰めようと思えば、どこまでも突き詰められるんです。練習した分だけ自分の身になるので、「今日はとりあえず音ゲーを1曲やってからRPGをやろう」みたいに練習メニューを組み込むことが多くて。日課のような感覚に近いかもしれません。
共に歩んできた作品との絆。“マジモン”の人になりたい
そもそもの音ゲーとの出会いは、小学生の頃に両親に買ってもらってめちゃくちゃハマった『ダンスダンスレボリューション』(以下『DDR』)。あと『パラッパラッパー』も、ビートを刻むのがすごく楽しかったし、絶対に隠しステージまで行きたくて徹底的にやってました。
『DDR』の中にお気に入りの曲が何個かあったんですけど、同じ系統の曲がアーケードゲームの『GITADORA』に入っているのを知ったことをきっかけに、ゲームセンターに通うようになって。しばらく『DrumMania』にハマって、ゲーセンに通い詰めていました。
それから『DDR』の曲が『ビーマニ』にも入っていることを知って、まずPS2版の家庭用を購入して練習を始めました。いきなりゲーセンでやるのは恥ずかしいから、家でひたすらコソ練して(笑)。そこが私の『ビーマニ』人生の始まりですね。
『ビーマニ』はオリジナルに力を入れていて、とにかく曲が良いんです!特に「V」という曲が大好きなんですが、いわゆるボス曲的な存在で、すごく難しいんですよ。何年もやり込んで、やっとクリアできるようになりました。
ほかにもドラムンベース、ハウス、テクノとか、聴いたことがないジャンルの音楽がたくさんあって、音楽への興味が広がりましたね。あとは、BPMを見て「これくらいの速さかな」ってサッとわかるようになったのも、本作で培われた特技ですね。
『ビーマニ』シリーズの音楽をライブで聴けるDJイベントも開催されているんですが、お客さんの盛り上がり方が尋常じゃないんですよ。細かいビートに合わせて振られるペンライトの動きが正確に揃いすぎていて、すごい光景です。数年前から『ビーマニ』のプロリーグも始まったんです。そこで、応援するという楽しさも新たに生まれました。
これまでは、ゲームがうまいことって、そこまで武器になり得なかったと思うんです。でも最近はストリーマーさんがすごく増えて、「ゲームがうまい人はカッコいい」という価値観に変わってきたような気がしていて。特に『ビーマニ』は26年の歴史がある老舗タイトルだし、難しいから、うまい人は“マジモン”だと。そして、私も“マジモン”の人になりたいので、やり込んじゃいますね。
音ゲーは、惰性でやるのが一番良くない。『ビーマニ』だと1プレイで4曲できるんですけど、私はちゃんと成果を生みたいから、1曲目はウォーミングアップでやって、2曲目はちょっと背伸びをした曲、3曲目はだいぶ実力以上の曲に挑戦する……みたいに、プランニングして取り組んでいます。
『ビーマニ』とは常に一緒に歩んできた感覚があるけど、やっぱり生活の変化もあるし、全然やらない時期もありました。でも新作がゲーセンで稼働したら、また熱が上がってくる。ずっと展開され続けているゲームだから、いつでも戻れるという絆のようなものも感じていますね。
「ゲームをやるのはストレス発散のためですか?」って、すごくよく聞かれるんです。でも私は逆に、うまくプレイできなくてストレスになるくらいなんですよね(笑)。悔しくてギャンギャン泣いちゃうこともあるし。でも突き詰めるのがとにかく楽しくて、上手にできたときの達成感はすごく大きい。これからもきっと離れられないですね。
古川未鈴がおすすめする3作品
DrumMania(1999)
対応機種:PS2/AC
ドラム演奏のリズムゲーム。「極めたくて楽器屋さんでマイスティックを買いました。このおかげで私は本物のドラムが少し叩けます。『ビーマニ』が反射神経を使うとしたら、『ドラマニ』はひたすら型を覚えるゲーム」
シアトリズム ファイナルバーライン(2023)
対応機種:Sw/PS4
『FF』シリーズの楽曲を楽しめるリズムアクションゲーム。「なんと約500曲も入っていて、思い出の曲ばかり!遊んでいてエモい気持ちになる音ゲーナンバーワン。『FF』を遊んでいた人なら、買って損はないです」
GROOVE COASTER(2011)
対応機種:Sw/PC/iOS/And
シンプルな操作が魅力的な音楽ゲーム。「初心者に最もおすすめ。アーケード版もあって、ジェットコースターみたいな譜面の動き方が気持ちいいんです。でんぱ組.incの曲もたくさん入っていて、愛を感じます」
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