案内人:トロピカル松村(ライター、〈CRT〉ディレクター)
石を投げれば古着屋に当たる⁉業界も続々参入する古着聖地へ!
五大都市圏の古着街の一つ、福岡市中央区エリアを知らずして古着好きを謳うのは後ろめたさがあった。大阪・堀江や、名古屋・大須は東京からのアクセスも容易だから幾度となく訪れているが、九州となるとどうも腰が重い……。
しかしここ最近、人気の古着屋が続々と福岡に進出している情報がよく耳に入ってくるのだ。猛者らが着目している街をこれ以上見過ごすわけにいかず、自ずと足は福岡に向いていた。
回ったのは聖地・大名に加え、同じ中央区にある今泉、荒戸、清川の4ヵ所。このあたりをグーグルマップで“古着”と検索すればヒット数はなんと120軒!これまでは街全体がアメリカンヴィンテージに強いイメージを持っていたけど、調べてみると、多様性の時代なのか特色の違う様々な店が乱立しているよう。
そんな福岡古着の今を味わうならジャンルレスに回るのが吉と判断し、アメカジ、ミリタリー、デザイン系、オルタナティブと特色が異なる店をチョイス。まず訪れた〈タイドマーク〉はオーセンティックなメイド・イン・USA古着が中心で、とにかく状態が良いものばかり。
TIDEMARK
程度良好のアメリカン古着を探すなら間違いなし!
福岡でアメリカンヴィンテージを買うならここ。ほぼメイド・イン・USAもので、とにかく状態の良さに重きを置いている。1999年創業の老舗ゆえ流石の品揃え。〈リーバイス®〉など王道のプレミアムなデニム、〈チャンピオン〉のトップス類も、〈ファイヤーキング〉のグラスもかなりの数。大名に姉妹店〈ウーピー〉も。
幾度もこすられてきたジャンルではあるが、ここまで良質なものに囲まれると一周して新鮮に映る。ストックで言うと〈ワイパー〉は別格。ミリタリー古着の所有数が日本でも一、二を争うレベルで、どれもファッション性に優れたアイテムなうえ超破格。当然、財布の紐が緩みっぱなしに。
WAIPER
センスの良い軍ものが大集結するデザインソースの宝庫
米・英・仏・独・豪などのミリタリーウェア、アイテムを年代問わず蒐集(しゅうしゅう)。もともとはストリートファッションブランドとしてスタートしたショップだけにセンスのいい軍ものばかり揃えているのもここならでは!オンラインショップがかなり充実しているが、店頭にはオンラインにないものも多く、一級品のヴィンテージもワゴンセールもあるから行く価値あり。
古着も千差万別。デザイン重視の個性派が揃う大名の〈ラブレア〉はなかなかのユニークさ。ひとクセあるものが多く、見ているだけで楽しいものばかり。個性なら〈モザイク〉もハンパじゃない。カルチャーにやたらと博学な20代の若者たちがアメリカでバイイングしてきたものが並んでいて、目線が最高。ジャズの良いアーティストまで教えてもらえた。
LABREA
デザイン重視のユニークな古着と、カルチャー系が軸
人気のレディース・ヴィンテージショップ〈アンダーランド〉の系列店として、古着の街、大名のビルの2階で営業。レギュラー古着はほぼなく、デザイン性の高いものや、米英の音楽、アートカルチャーものが中心。自社の古着のリメイクブランド〈Wiz&Witch〉もユニークだったし、〈コム デ ギャルソン〉などハイブランド古着も発見できた。
MOZAIQ
博識な20代らの感性が光るオルタナティブ系古着の巣窟
ビル一棟の2フロアを店舗として活用。レゲエ好きのオーナーと、ジャズ好きや、アンビエント好きの若き文化系スタッフらがおのおのにアメリカで買い付けてきたものが並ぶ、なんともミクスチャーな古着屋。地中海エッセンスなアイテム、定番ブランドの珍品、民芸からちょっとカオスな雑貨まで!ここではY2Kな〈エルエルビーン〉のウォーキングシューズをゲット。
買い物のまえに、古着メシ
〈いとおかし〉の人気朝食で腹ごしらえをしてせっせと4軒を回り、良い古着をゲットできたわけだが、中央区だけでまだ100以上の古着屋をディグれていない様子?福岡古着街、想像以上にアツかった。
※紹介した古着の多くは一点物で、品切れの場合があります。価格等の情報は取材時のもので、変更になる場合があります。