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夜までどうする?60分余った時の、福岡での過ごし方:Vol.1

福岡という街は、コンパクトであるうえに移動手段も豊富。少し足を延ばせば一風変わった水族館や離島にだって行けてしまう。ひるがえって、実は近場に予期せぬ特別な体験を得られる場所がいくつも潜んでいる。ここでは、買い物や食事はそこそこに、60分で楽しめる明確な実体験テーマをプランした。

初出:BRUTUS No.873『福岡の正解』(2018年7月2日発売)

photo&text: Kenichi Seguchi (common), Maiko Shimokawa (common) / edit: Yoshiko Asano (nico edit)

カレー屋で『BRUTUS』のバックナンバーを読みふける

赤坂

福岡〈東方遊酒菜 ヌワラエリヤ〉店内

スリランカのスパイスを使った家庭料理に魅せられたオーナーが30年来営むレストラン。名物のカリーを目当てに、という正統な楽しみ方は言うに及ばず。混み合うランチタイムをあえて避け、スパイスティー680円(税込み)を嗜むという選択肢もあり。

茶葉香るミルクティー片手に雑誌好きを公言するオーナーの秘蔵コレクションから『BRUTUS』を引っ張り出し、過去の時代にタイムスリップ!なんて人が増えると、小誌としては嬉しい限り。

教科書に載っていた金印を見に行く

百道浜

福岡〈福岡市博物館〉外観

目を引きつける不思議な形といい、艶かしい黄金色の輝きといい、まさに国宝の称号にふさわしい金印。教科書にも登場する最もポピュラーな国宝を天神からわずか十数分の距離で見られるとなると、とてもじっとはしていられない。

一辺2.3cm、重さ108gの小さな金塊ながら、刻まれた精巧な文字や蛇の鱗を表現した魚子(ななこ)など、随所に見どころのある至宝。レプリカでは表現し切れない、本物ならではの迫力を観察したい。

古本屋の100円コーナーで、幻の一冊を発掘する

別府

福岡〈徘徊堂〉外観

古本屋って、意外な掘り出し物があるから面白い。松枝蔵人さん・麻美さん夫婦が営む古本屋〈徘徊堂〉には、堅苦しくなく気軽に読める書籍や、子供と大人が楽しめる絵本が充実している。所狭しと並べられた本の中で、特に気になるのが軒先の100円コーナー。

『長靴をはいた猫』などの有名童話や、趣味の分野外であっても引っかかるタイトルの書籍が多々あり、各ジャンルの名作と珍作が隠れている。試し読み的感覚で粋に求め、移動中に読みふけろう。