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「理想の本棚。」編集後記:好きな本棚のあるお店はありますか?

2023年12月15日発売 No.999「理想の本棚。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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好きな本棚のあるお店はありますか?

特集では本読みの方々のプライベートなご自宅の本棚を紹介しましたが、ここではパブリックな本棚の話を書こうと思います。

例えば喫茶店やレストランでお店の一角に本棚があったりします。その選書にお店の性格が現れているような気がします。店主やスタッフによる選書だと思いますが、お店に来る人に読まれることを前提にした公衆性もある。閉じているけど、開いている本棚がいいな、と個人的には思っていて、いろんな場所に行くたびにじっくり見てしまいます。

個人的に面白かったのは、浅草園芸ホールの磐梯脇にある本棚。棚とも言えないちょっとしたスペース(これはお客さんが読めるものでもないんですが)に漢語辞典が置いてあり、仕事ならではの本棚でした。あとは、神保町の喫茶店〈ミロンガ・ヌオーバ〉。コーヒーやビールに関する本もありながら、神保町や神田の町の歴史に関する本もあり、地域性が出ていていいなあと。そして時には意外な組み合わせもあって、出張先の地方の町中華の本棚に、コンビニに売っている漫画と並んで、谷崎潤一郎の本が並んでいたこと。大衆を意識しつつも、店主の趣味がガッツリ出ていて、その普通はあり得ない並びが新鮮でした。

これを読んでくださっている方、素敵な本棚のあるお店をご存知でしたら教えてほしいです。

逗子の古本屋〈古書イサド ととら堂〉店内
こちらは、特集でも紹介した逗子の古本屋〈古書イサド ととら堂〉。元々学芸大学にあった〈流浪堂〉という書店の棚が好きだったのですが、ある日偶然訪れたここの棚もすごく似ていて面白かったんです。話を聞くと元々流浪堂をはじめた方が店主ということ。棚は人を写す鏡のようです。

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