大切な写真は日常で撮られている
写真の楽しさってなんでしょう?誰もがいつでもどこでも写真を撮れる、全人類フォトグラファー時代なわけですが、個人的には写真を撮るのも、撮られるのも大の苦手。友人がカメラを構えるのを察知するや否や、それとなくフレームアウトする技術だけが向上してしまっています。
そんな私が感銘を受けたのは、取材した上田義彦さんのお話。上田さん曰く、「いい写真にしようなんて、思った瞬間にダメになる」ということ。自分がカメラを構えるとき、かっこよく撮りたいな、だとか、良く写りたいな、だとか。そんなことを考える前に撮ってしまえば良いということ。
上田さんの写真は、誰もが目にしたことがあるような日常の光景であるにも関わらず、なぜか心奪われてしまう。それは美しいと思った瞬間の衝動が、そのまま写真に閉じ込められているからなのかもしれません。
特別な場所や技術がなくとも、なんか良いな、と感じた瞬間を撮ればいい。そう考えると、写真を撮ること、観ることが、なんだかとても愛おしい営みに思えてきました。
上田さんを含め17人の写真家、写真好きに話を聞いた今回の写真特集。ぜひ、自分なりの写真の楽しみ方に出会ってもらえると嬉しいです。