特集後に思い出した、ある1冊
新しい分野に飛び込むのは誰でも勇気が必要ですよね。特に、今まで働いてきた分野とは全く違うスキルとなれば尚更。それでも、“学ぶ喜び”というのは年齢関係なく、必ずあるものではないでしょうか。特集リードにも書かれていますが、それは学生だけの特権ではないはず。
特集を終えた週末にふと自宅の本棚を眺めていて、これは、特集と併せて読むといいなあと思ったのが『ヤクザときどきピアノ』という本。著者は『サカナとヤクザ』や『ヤクザと原発』などのルポで知られるノンフィクションライターの鈴木智彦さん。著書の校了明けに観た『マンマ・ミア!ヒア・ウィー・ゴー』劇中に流れたABBAの『ダンシング・クイーン』に涙が止まらぬほど感動し、譜面の読み方も知らないままに、ピアノ教室に飛び込み、『ダンシング・クイーン』が弾けるようになるために四苦八苦しながらピアノに挑戦するという話。
筆者はそれまでピアノにほとんど触れたことがなく、さらには当時52歳。何度も挫折しそうになりながらも負けずに続けていき、最後には1曲丸々弾けるようになるんです。
新しいことを始める時の衝動、学ぶことのプリミティブな喜びが丁寧に描かれているのですが、ライターならではの目線で、挫折せずに向上させていくためのコツみたいなものも客観的に書かれていて、エンタメとしても教養としも読める傑作ですので是非読んでみてください。