2015年に「珍奇植物」という特集が組まれ、7年が経ちました。植物は全4冊(+合本ムック2冊)、昨年にはシリーズ第二弾として「珍奇昆虫」特集を刊行。その発売直後に、珍奇特集を一緒に作っている編集者の川端正吾さんから、「次は鉱物だよ」と、分厚い企画書が送られてきました。
ジュエリーでもパワーストーンでもない石の特集、一体どんなものだろう?と企画書に目を通して驚嘆。人智を超えた美しい造形の鉱物たちに、一瞬で目を奪われました。燃えさかる炎のようなロードクロサイト、多彩に輝き怪しく発光するフローライト、荒々しい母岩に凛と佇むアクアマリン……。これらが地中深くで自然と生まれることに衝撃を受け、同時に、大袈裟かもしれませんが、「地球の営み」の尊さが心に深く突き刺さりました。盛り上がったテンションのまま編集長へ話を持っていき、特集の実現へと至ったのです。
いざ特集製作へと踏み出すや否や、その魅力にズブズブと。“珍奇シリーズ”では毎度お馴染みですが、今回も例のごとく、いやいつも以上に、リサーチや取材先で鉱物を買い込んでしまいました。愛好家の皆さんが口にする「鉱物沼」とはこのことか……!と、気付いた頃には時すでに遅し。鉱物標本の千差万別具合は植物や昆虫以上で、色・形・大きさ、どれをとっても唯一無二。それゆえに沼が深く、グッとくる標本に出会ったら買わなくてはならない、という(勝手な)使命感に駆られるというわけなのです。
かくして増えていくコレクションを眺めながら、どう保管しようか、どう飾ろうかと考えるのが至福の時間。しばらく沼から抜け出せそうにありません。
辻田翔哉(本誌担当編集)