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「珍奇鉱物」特集 編集後記:ジュエリーとしてではなく、標本としての鉱物世界へ

2022年6月1日発売 No.963「珍奇鉱物」を担当した編集者がしたためる編集後記。


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「母岩」と呼ばれる、結晶の土台となる鉱物がついたままの姿で掘り出された標本を見たとき、頭の中にその産地の景色のイメージがブワッと湧いてきて、ついつい時間を忘れて眺めてしまった。個人的には、標本とは憧れのフィールドへの妄想をおおいに広げてくれるツールのような存在で、鉱物標本にはその魅力をヒリヒリと感じた。

そのクリアで宝石質な結晶とゴツゴツとした野趣あふれる母岩のコントラストは、きっと途方もなく長い時間を経て生み出された自然の芸術作品なのだろう。美しくカットされたジュエリーはなじみがあるけれど、こうした鉱物たちが自然界に存在している姿については意外と知らなかったのだ。

今回の珍奇シリーズは、そんな鉱物たちのありのままの姿を楽しむことにフィーチャーした特集だ。ジュエリーとしてでなく、標本として鉱物を見ると、例えば、よく知られているアクアマリンやエメラルドも、実はどちらも同じ「ベリル」という種の鉱物で、青に発色するものがアクアマリン、緑のものがエメラルドと呼ばれていたり、同じようにルビーとサファイアも、同じ「コランダム」という種の鉱物で、赤いものだけがルビーと呼ばれ、そのほかはサファイアと呼ばれていたりするなど、また違った見え方をしてきて面白い。

そして、そんな鉱物標本が採掘される産地に密着したフィールド紀行も、もちろんたっぷりと紹介。やっぱり標本って、いいな。

珍奇鉱物 アクアマリンの標本
最近は、触って楽しめる鉱物標本がお気に入り。アクアマリンくらいの硬度があると、わりと破損も気にせず指先で転がしながら楽しめる。ひんやりした触感や、小さいながらも、しっかり重さがある感じがたまらない。

川端正吾(本誌担当編集)

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