世界基準の星空保護区に指定された「ダークスカイ・アイランド」。すごい名前だ……と思いながら、半信半疑で向かった先が東京都内の島・神津島だった。
自分も一端の旅好きで、北アルプスやアイスランドで、綺麗な星空をそれなりに拝んできた自負がある。果たして、どれほどなんだろう。晴れ予報を確認して、調布飛行場から小型飛行機に飛び乗って45分、あっという間に島に辿り着いた。
真っ白な山肌の天上山、海岸ごとに異なる青の太平洋。調布からものの数十分でどこまで来てしまったのか、見紛う景色にまず驚いた。興奮のまま、赤崎遊歩道の飛び込み台やトロッコ線路跡など、車でぐるっと島を回る。クラフトビール店を出た時にはもう日が暮れていた。
ついに!と顔を上げると、暗闇に浮かんだ星が。たしかに綺麗、でも、期待を上回ったかというと、そうではない。若干不安になりながら、展望台へ移動する。
車を出て、天を仰いで、慄いた。綺麗、というより、めちゃくちゃ多い! 自分の頭上に、こんなにも星があったのか。宇宙にはこれだけの星があって、今いる地球はその一部に過ぎない。そう思わざるを得ない数。そそくさとロケットに乗り込むことはできないけれど、たしかに宇宙を感じることができた。なにより東京都内で、この景色に出会えたことが感動だった。
同じ島内でもこうも見え方が違うのか、とか、世の中にこんなに星があったのか、とか、この旅で、五感で得られた発見は多い。ひとまず東京本土に戻ってから、天体好きのスタッフに薦めてもらって、国立天文台の望遠鏡キットを買ってみた。そうだ、旅って、こういうものだった。1泊2日の国内旅でも、まだまだ人生変わっちゃう。モノの見方が変わる、美しい星空と旅の詳細はぜひ誌面で。
木戸智士(本誌担当編集)