思えばラブソングなんて歌ってみるとき
ネットのニュースを読んでいた。新生児の取り違えの記事だ。70年近く前に取り違えられた当の本人の幼少期からの苦悩が書かれていた。記事自体も興味深いものだったが、自分の心を捉えたのは、取り違えに興味を示さなかったという育ての父親の「せがれはせがれだから」という言葉だった。ふとしたときに出会った言葉が、なぜかずっと胸に残ることがある。ラブソングを聴くという行為は、これに似ている。映画や小説よりも、数分間で限られた世界を描く歌の方が、強いリアリティを持つことがある。これは本当の言葉だと思える歌がある。失恋への癒しというようなものよりもっと強く、愛を信じることを肯定してくれる。そういうラブソングを、いつも心の中で口ずさめるように持っておくのは、ちょっといいことだと思う。そんな歌にもっともっと出会いたくて、作った特集です。
