Live

「釣りの入口。」編集後記:水面と心を覗き見る

2025年9月1日発売 No.1038「釣りの入口。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

連載一覧へ

水面と心を覗き見る

ブルータス、17年ぶりの釣り特集ができあがりました。70ページ、釣り一色です。

テーマは「釣りの入口」。写真家の平野太呂さんとノンフィクションライターの村岡俊也さんという、人生と釣りの先輩方の導きで完成した一冊です。普段はヘラブナ釣りに親しむお二人ですが、そのまわりには海、川、池、湖などのフィールドを問わず、それぞれ自由に釣りを楽しみ、釣りと暮らす方々が何人もいらっしゃいました。

魚の居場所を探したり、釣った魚を観察して絵を描いたり、自ら料理して味わったり。ただ釣ることだけを目的とせず、釣り糸を垂らしている時間も、水辺へ行って帰って来る時も、「次はいつ行こう」とぼんやり考える瞬間さえも「釣り」であり、どこをどう楽しむかは、究極に自分次第。その様式がさまざまであるように、釣りとの付き合い方にも個性やストーリーがあるんだと、気付かされました。

そして、人が釣りの時間で何を見て、何を思い、何に心を動かされるのか。そこを覗き見させてもらうことが、釣り初心者の自分にとっては、最も大きく開かれた入口のように感じられたのでした。

青々とした緑に囲まれ、透き通った水面に魚の影を探す。思わず「気持ちよさそう!」と叫びたくなる写真と、一人の人間が釣りと暮らす物語。もっと新しい釣りをしてみたいという人も、これから釣りをはじめたい人も、ページをめくりながら、残暑の中で終わらない夏休み気分を味わっていただけたら嬉しいです。

No.1038「釣りの入り口。」ポップアップバナー

連載一覧へ