目覚めるSF
学生の頃から、密かにサイエンスフィクションの世界に憧れていました。
タイムリープ、マルチバース、サイバーパンク、ディストピア……。そこでは日常生活とは異なる世界が描かれているのに、科学的ロジックや独自のルールによって、どこか現実とつながっている。そんな「もしかしたら」の物語に触れる中で、作品を通していつの間にか自分の感覚や価値観がひっくり返っている。そして壮大な未知の物語に思いを馳せていたはずが、最終的には自分事の考えに巡り巡ってたどり着くという不思議。「その感覚こそがセンス・オブ・ワンダーです」と、大森 望さんをはじめ多くのSF識者の言葉に導かれ、「新たな自分が“目覚める”(=センス・オブ・ワンダー)」というテーマで現代SF入門ガイドを制作しました。
そして今、SFのセンス・オブ・ワンダーはあちこちに。小説や映画だけでなく、ドラマやゲーム、漫画、アニメなど、SF的な想像力はあらゆるポップカルチャーへと浸透&拡散しています。特集ではそんな現代SFから得られる12の“目覚め”企画や、いろんな方々が愛するSF作品、そして作家ケン・リュウさんがブルータスのために選んでくれた本邦初訳短編小説などを収録。(訳は古沢嘉通さん。真夏にこそぜひ読んでほしい作品です!)
また特別付録のBook in Bookは、6名のSF識者に集結いただいたブルータス特製・現代SFキーワード辞典です。「アポカリプス」「AI」「タイムループ」「光学迷彩」「ロボット三原則」といった定番用語から、「犬」「神」「不倫」「幽霊」などちょっと変わったキーワードまで……全部で110の用語と一緒に小説、映画、ドラマ、ゲーム、漫画、アニメ、演劇の7分野から計294作品を選出、ページの限界まで文字を詰め込んだ小冊子が完成しました。この夏、新たな自分に目覚めるためのSFガイドとしてぜひお役立てください。