「通いたくなる水族館。」編集後記:ひとりで、水族館へ

2024年3月1日発売 No.1003「通いたくなる水族館。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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ひとりで、水族館へ

急に人から誘われて、久しぶりに水族館に足を運んだのが昨年の9月。葛西臨海水族園でヒカリキンメダイを見て、真っ暗な水槽の中に散らばる無数の小さな光に胸を打たれた。「水族館は宇宙だ」という仮タイトルで特集の企画案を提出したのはそれから3ヶ月後のことだった。

リサーチでたくさんの施設を訪れた。水族館の魅力の一つは、ひとりの時間を豊かに楽しめるところにある。大きな水槽を前に、巨大な水のかたまりとそこに漂う魚たちを眺めながら物思いにふけるのもいい。小さな水槽を覗き込んで神秘的な姿に感嘆し、えーとかわーとか小さく叫びながら、じっくりと細部まで観察するのもいい。暗い館内もちょっとした非日常を演出してくれる。耳を澄ませば、水の音やアンビエント風のBGMにも癒される。ひとり飯やサウナや名建築に近いところがあると思う。テレビ東京さん、ドラマ化はどうでしょうか。

特集では特に生き物の魅力に注目して、図鑑にたくさんのページを割いた。水族館の水槽のように、いつまでも眺めていられる本になっているはずだ。もちろん本を読んだ後は、実際に気になる施設に足を運んでほしい。個人的なおすすめは、ひとりで。

ハナミノカサゴ
ハナミノカサゴ。取材で訪れた〈幼魚水族館〉にて。小さくて不思議な水槽好きにはたまらない施設でした。

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