【古代・弥生】
占いが国家的だった時代
太占(ふとまに)
鹿の肩甲骨に火のついた棒を押し付け、骨のひび割れの形で吉凶を判断する日本最古の占い。
盟神探湯(くがたち)
容疑のある人物に神に誓いを立てさせ、釜で沸かした熱湯の中に手を入れさせる。正しい者はただれず、罪ある者はやけどする。結果で正邪を判断した。
託宣(神託)
霊的存在・超自然的存在と直接、接触・交流できる呪術者が託宣し、神のお告げとしてその意思を述べていた。邪馬台国の女王・卑弥呼も呪術者で、弟がその言葉を解釈し伝える審神者(さにわ)の役割をしていたとされる。
【飛鳥・奈良】
文化と共に占いを楽しんだ時代
易占(筮竹(ぜいちく))
中国で集大成された筮竹で占う易占。天武天皇は易占に通じ、壬申の乱では自ら筮竹で占った。また天文の観測と占いを行うため、占星台も設けていた。
粥占
粥を炊いた釜に草の茎を入れ、茎の管に入った粥の量により作物の豊凶や一年の景気を占った。
亀卜(きぼく)(亀甲占い)
ウミガメの甲羅に穴を開け火で炙(あぶ)り、ひび割れの形で吉凶を判断する占い。平らで割れやすい腹甲を使用するのが特徴。
辻占(つじうら)
夕暮れ時に辻に立ち、偶然通りかかった人が話す内容・言霊で吉凶を判断する占い。
【平安・鎌倉】
政治不安で占いを利用した時代
陰陽道(陰陽師)
中国の陰陽五行思想に基づく日本の呪術的宗教。日や方角の吉凶を占うなど、災害や悪霊を避ける呪法を施した。
安倍晴明
陰陽師を代表する呪術師。藤原道長からの信頼も厚かった。
夢占(ゆめうら)
神の言葉を聞く手段の一つ。平安時代、寺社への参籠が流行したのも神仏から夢のお告げを得るためだった。当時は吉夢や出世する夢の売り買いもあり、「夢を買うか?」「買うならこの話をしよう」という具合に売買が行われたという。
宿曜道(宿曜占星術)
月が地球を1周する周期、27日をもとに分類した27宿を生年月日から算出し、ホロスコープを用いて占う。空海が日本に伝えたとされる。
源頼朝
専属の祈祷師がいなかったため、京都の陰陽師・安倍資元に依頼。2代将軍・源実朝から幕府専属の陰陽師が現れた。
くじ
神のお告げを得る一つの手段。北条泰時は四条天皇の皇嗣を決める際、くじを使って後嵯峨天皇を選ぶなど重要な場面で使われていた。おみくじも神託。
【室町・戦国・安土桃山】
武将が占い師を抱えた時代
軍配者
武田信玄は山本勘助、徳川家康は天海、織田信長は伊束法師など、武士に仕え、占いを行った。
足利学校
儒学を中心に易学や兵学、医学などを教えた学校。戦国時代に易占(筮竹)が流行したのは足利学校の影響も大きく、各武将に仕えた多くの軍配者も学んだ。
観天望気
運気、気象によって合戦などの吉凶を占った。桶狭間の戦いで2万5000人の今川義元軍に対し、2000人の織田信長軍による奇襲が成功した。集中豪雨で信長軍の接近に気づかなかったからとされており、信長の軍配者・伊束法師が観天望気で豪雨を予測したとの説がある。
武田信玄
合戦などの重要な決断に頻繁に易占を用いた。軍配者・山本勘助に観天望気を行わせた。
【江戸】
職業占い師が誕生した時代
三大易者
儒学者で易学を極めた新井白蛾をはじめ、平沢随貞、真勢中州ら易者が大活躍。
水野南北
江戸時代中期の観相家。人相占いの元祖で南北相法として普及。
『永代大雑書萬暦大成』
暦・日取り・男女相性・家相・方位・人相・手相・守護仏・妙術・五行説・夢占などの占いや、生活の知恵が書かれた書物で、通称・大雑書。これにより一般の人々にも占いが浸透した。
〈掲載されていた占いの一例〉
・失物占い→なくしたもの、盗品を探す時の占い。
・六十甲子五行 産性吉凶→干支と五行の知恵を掛け合わせた納音(なっちん)によって本質を占う。
・八卦→年の吉凶を占う時の代表的な占法。
【明治・大正】
占いが大衆化した時代
目黒玄竜子
人相家。当時は高貴の相や不運の相などの運命論が広まった。
高島嘉右衛門(高島呑象(どんしょう))
横浜港の築港などに携わった実業家で、横浜の父ともいわれる。引退後は、若き日の投獄中に学んだ易経の研究に専念し、呑象の号で活動。「易聖」と呼ばれ数々の政治家にも助言し、伊藤博文の殺害も予言。著書『高島易断』はベストセラーに。
神宮暦
東京天文台が作成し、伊勢神宮が発行。大安・仏滅の表示もこの暦の影響とされている。
高島暦
『高島易断』をもとに書生がまとめたとされる暦。大衆版として現在も広く使用されている。
【昭和初期】
第一次占いブーム到来!
『○○の神秘』シリーズ
永鳥真雄『手相の神秘』、熊㟢健翁『姓名の神秘』(実業之日本社)が大ヒット。『生れ月の神秘』の著者は「赤とんぼ」など数多くの名曲を生み出した音楽家の山田耕筰。
姓名判断
名前の字画数で運勢を占う、日本オリジナルの占い。開祖・熊㟢健翁の熊㟢式が主流。
汎日本易学協会
昭和12年“昭和の易聖”と呼ばれた加藤大岳を中心に発足。
0学占い
昭和15年頃、御射山宇彦が樹立した0学に基づく占い。6つの0星・(ゼロスター)と12の支配星を割り出して占う。
【昭和25年〜36年】
カリスマ女性占い師登場の時代
藤田小女姫
昭和25年、「占いがよく当たる少女」と新聞に掲載され「天才占い少女」としてブームに。
新宿の母(栗原すみ子)
60年近く、伊勢丹新宿店横で占いを続け、後に出てくる銀座の母、原宿の母、大泉の母など「○○の母」の先駆けとなる。
【昭和37年〜47年】
第二次占いブーム
黄小娥『易入門』、浅野八郎『手相術』、門馬寛明『西洋占星術』
当時、ベストセラーとなった書籍。3人は占い界の時の人に。
正月の占いイベント
年1回のペースで、都内の複数のデパートや駅ビルで占いイベントが催され始める。
高尾算命学
陰陽五行説を基本とした中国発祥の学問。宗家・高尾義政が昭和47年にまとめ上げ、初めて算命学理論として公開した。
【昭和48年〜54年】
第三次占いブーム
『ノストラダムスの大予言』
終末思想を書いた、昭和48年発行の五島勉の著書。3ヵ月で100万部を突破。
ルネ・ヴァン・ダール研究所
昭和51年にルネ・ヴァン・ダール・ワタナベが創立した占い研究所。雑誌の連載などで活躍。
天中殺
算命学で提唱されている運命論の一つ。和泉宗章の著書『天中殺入門 算命占星学2』が昭和54年に大ベストセラーとなり、「天中殺」は流行語に。
占い雑誌『My Birthday』
昭和54年創刊。若い女性の間で流行。主な執筆者はルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ、マドモアゼル・愛、浅野八郎など。
【昭和55年以降(1980年代)】
占い産業の始まりの時代
G・ダビデ研究所
昭和55年の創立以来、雑誌や書籍で西洋占星術を発表。ルネ・ヴァン・ダール研究所と並び西洋占星術をリードする。
占いの街
昭和57年、フロアを丸ごと占いコーナーにした建物が誕生。
細木数子
昭和60年、著書『運命を読む六星占術入門』が大ヒット。六星占術で悪い流れの時期を表す言葉「大殺界」がブームに。
算命学総本校・髙尾学館
高尾義政が昭和61年に創立。
塔里木(たりむ)
原宿竹下通りに開館した占いの鑑定所。対面式の占いが流行。
【平成2年以降(1990年代)】
占いに癒やしを求めた時代
風水
Dr.コパの登場で大ブームに。のちに李家幽竹、直居由美里らも登場し、人気が定着する。
安斎勝洋
『笑っていいとも!』のコーナーだった「姓名判断」が人気に。
動物占い
中国の陰陽五行説をベースに、四柱推命で使われる十二運星を動物に置き換えた占い。生年月日から性格を動物に譬(たと)えて占う。一大ブームとなった。
携帯占いコンテンツ
平成11年、i-modeの始まりと共に普及。
【平成12年以降(2000年代)】
占い師キャラクター化の時代
『ズバリ言うわよ!』
平成16年放送開始のバラエティ番組。細木数子が再ブレイクし、占い師の地盤ができる。
占いサイト
「恋愛の神様DX」「宿命と予言」「究極の姓名判断」など人気サイトが次々登場。全盛期の携帯電話キャリア公式サイト数は約500で、サイト利用者の男女割合は女性が7割5分、男性が2割5分ほどだという。
鏡リュウジ
占星術で、文化的かつ心理的なアプローチを紹介。幅広い層に支持される。翻訳書も多数。
石井ゆかり
著書『12星座』シリーズが120万部を超える大ヒット。星占いのサイト「筋トレ」やツイッターで日々、12星座の占いを無料更新。インターネットでの占い配信を駆使したパイオニア的存在。
中森じゅあん
中国最古の占星学から読み解いた「鬼谷算命学」を発表。著名人からも根強い人気を誇る。
水晶玉子
宿曜をベースにインドと西洋の占星術を加えた独自の「オリエンタル占星術」を確立。
はづき虹映
カバラ数秘術をもとにアレンジしたオリジナルの「はづき数秘術、誕生日占い」を確立。
ステラ薫子
タロットカードの第一人者的存在。オリジナルのステラタロットがドラマ『魔王』で使用され、一般的にもポピュラーに。
【平成22年以降(2010年代)】
作家的な占い師登場の時代
島田秀平
原宿の母・菅野鈴子の弟子。「代々木の甥」の肩書で手相芸人としての活動を開始。テレビへの出演で認知が広がる。
ゲッターズ飯田
お笑いコンビ解散後、作家、タレント、占い師として活動し、幅広く活躍。芸能界最強占い師との呼び声も高い。
占いができる芸能人
よゐこ濱口優の実弟・濱口善幸、栗原類、スピリチュアル女子大生CHIE、風水芸人・出雲阿国などが続々登場。
イヴルルド遙華
人生の流れを24年周期で占うオリジナルの「フォーチュンサイクル占い」で人気に。
しいたけ
ウェブマガジン「VOGUE GIRL」で毎週更新している「しいたけ占い」で人気に火がつき、SNSを中心に大ヒット。
Keiko
生まれた時の月の位置で知る「月星座占い」でブレイク。
占いフェス
2017年1月と7月、原宿・表参道で開催された日本最大級の占いイベント。大盛況で、3回目は2018年1月に開催予定。