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器を持つのはマナー違反?ミールスってどう食べる?世界の食文化Q&A〜食べ方・マナー編〜

所変われば、マナーやルールも変わる。宗教やその国の伝統によって異なる各国の食文化を理解し、心置きなく堪能するため、知っておきたい知識をまとめました。

illustration: Masashi Takeda / text: Akiko Yoshikawa / special thanks: Masato Nakamura, Masaki Kobayashi

Q:器を持つのはマナー違反?

A:世界的に見ると、持ち上げる方が少数派。

日本では茶碗や汁椀などの器を手に持って食べる(手より大きい器や平皿は持ち上げない)。しかし、世界的に見れば“持つ派”は珍しい。同じ箸文化の韓国では重くて熱を通しやすいステンレス製の食器を使うため、器をテーブルに置いたままスプーンなどで食べる。

中国でもご飯茶碗以外の器は持ち上げないのがマナー。タイやベトナムでも同様だ。欧米では皿はテーブルに置くもので、手に持って顔に近づけること自体ない。いつもの習慣が出ないよう気をつけて。

Q:タイ料理の調味料を使いこなしたい!

A:「辛」「甘」「酸」「塩」をコントロール!

タイ料理店の卓上でお馴染みの調味料。「クルアン・プルン(タイ語で調味料の意)」と呼ばれ、魚醤・砂糖・粉唐辛子・唐辛子入り酢の4種類が主流だ。タイ料理は辛味、甘味、酸味、塩味の組み合わせが基本で、自分好みにカスタマイズするのが当たり前。料理が辛すぎた時に砂糖を足してマイルドにする、というワザも。

イラスト 竹田匡志
(左から)プリック・ポン(粉唐辛子)、ナムターン(砂糖)、プリック・ナムソム(唐辛子入り酢)、ナンプラー(魚醤)/「レストランで出された味を変えてもいいの?」という心配は無要。はじめから入れてもよし、途中で味変してもよし。ただ入れすぎには注意を!

Q:気をつけたい文化の違いはある?

A:ハンドサインは要注意。

親指を立てるサムズアップはアフガニスタンやイラン、ギリシャでは相手を侮蔑することに。親指と人差し指で○を作るOKサインは、無価値、性的な侮辱、白人至上主義を意味する国もある。「おいしい!」と伝えるつもりが、相手を怒らせることにもなりかねない。

Q:ミールスってどう食べるの?

A:まずはカトリ(小皿)をターリー(大皿)から出してスペース確保。

南インド料理店では、「ミールス」と呼ばれる定食が定番だ。ターリー(大皿)にはいくつものカトリ(小皿)がのっていて、カレーのほかに「ポリヤル」(野菜炒め)、「サンバル」(豆と野菜の煮込み)、「ラッサム」(辛酸っぱいスープ)、中央に米やパパド(豆で作ったせんべい)などがある。まずは、カトリをターリーの外に出そう。

そうして生まれたスペースで、割ったパパドを米の上に振りかける。食感を楽しむものなので、パパド単体で食べても構わない。あとはカトリに入ったカレーやおかず類を好みで米にかけて混ぜて食べる。酸味や辛味など、さまざまな風味が混ざり合うことで創られる味を楽しむのがミールスの醍醐味。自由に味わってみよう。

イラスト 竹田匡志

Q:手で食べてみたい!

A:食材を指先にまとめて、親指で押し出すのがコツ。

インド、東南アジア、中近東、アフリカなど、世界の約40%の人々が手食を行っている。国や宗教で違いはあるが、右手を使って(薬指や小指を使わない地域もある)食材を混ぜながら一口大にして、親指で押し出すように口の中に入れる。温かさや柔らかさを調節できるため、手食文化圏の人は「手食の方がおいしい」と感じているという。

イラスト 竹田匡志
インドではスマホの普及で都市部の若者を中心に手食離れが進んでいるそうだ。

Q:鶏の頭やモミジの食べ方は?

A:食材を指先にまとめて、親指で押し出すのがコツ。

中国料理でよく見かけるモミジ(鶏の足)や、鶏の頭。食べ方は至ってシンプルで、そのままかぶりついてしゃぶり尽くすべき。硬い部分だけになったら口から出してガラ入れへ。モミジはコラーゲンたっぷりで美味。つまみ感覚でどうぞ。