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Tシャツには人が出る。〈白日〉店主・西坂晃一

たかがTシャツ、されどTシャツ。Tシャツは、一枚一枚が持ち主の人生を雄弁に物語るものだ。〈白日〉店主・西坂晃一さんにお気に入りのTシャツを教えてもらいました。

photo: Akinobu Maeda / text & edit: Tamio Ogasawara

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ただのなんでもないようなTシャツですが、僕にとっては大事な仕事着なんです

このTシャツはフリマで300円で買いました。もう少し高かったんですけど、フリマなので安くしてもらいました。東京に出てきた頃は頑張って下北沢なんかに行っていましたが、そういうのも疲れちゃって、今では古物の仕入れついでにTシャツや服を買っています。

全国どこにでも仕入れに行くのですが、業者さんに覚えてもらわないと仕事もあがったりなので、必ず黒いTシャツに黒いパンツで訪ねています。うちのギャラリーで扱う作家さんに会いに行く際もそうで、だいたい彼らは山間部にいるので、そういう場所へは泥まみれオッケーの格好で行くんです。同じ目線を持てないと話も弾みませんしね。

ただ、夏になると黒は暑すぎるので、光を集めない色に替えています。まあ、この話も缶コーヒーみたいなもので、深くはないです。でも、缶コーヒーなんてと思われるかもしれませんが、僕は自販機で買った缶コーヒーを一緒に飲む方が、人と近くなれるし、何か物語が生まれるような気がしています。

〈白日〉店主・西坂晃一
浅草橋にある築100年近い洋館に〈白日〉はある。ギャラリーはその目の前のモダンな建物に。フリーマーケットで買ったアイスグレーのTシャツは3XL、メイド・イン・ハイチ。

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