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日本産のフレッシュホップでアーバン・ブルーイング。クラフトビールのFarm to Table Vol.2

国内のビール市場でも希少な日本産ホップ。その代表的な産地である岩手県遠野市で栽培されたホップは、東京・代官山のアーバンブルワリー〈スプリングバレーブルワリー東京〉で醸造されるビールに使用されています。「クラフトビールの畑からテーブルまで」を追いかける連載の第2回は、ホップがビールになるまでのお話。日本産ホップならではの香りや苦みを生かしたビールは、どのように造られるのか。醸造の現場で話を聞いた。

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photo: Kiichi Fukuda / text: Kei Sasaki

都市型ブルーパブで醸造する旬なビール

9月、東京・代官山〈スプリングバレーブルワリー東京〉では、年に1度、希少なビールの醸造が始まる。「スプリングバレー フレッシュホップ〜最優秀圃場 IBUKI〜」。日本産ホップ「IBUKI」のフローラルで華やかな香りを最大限に生かした、日本産ホップのおいしさを伝えるためのビールだ。その名の通り、キリンビールが毎年開催している「ホップ優秀栽培選定会」で21年最優秀圃場に選ばれた遠野ホップ農業協同組合の宮澤利光さんの「IBUKI」が使われる。

2015年に開業した〈スプリングバレーブルワリー東京〉は、都市型ブルーパブの先駆け。店内で醸造するビールを料理とともに楽しめるのはもちろん、ガラス製の仕込み釜など、機材にもこだわり、ビールの製造工程を見て楽しめるのも大きな特徴だ。ビール好きにとってはさながらパラダイス。

「ビールを飲むすべての方々に、新たなビールとの出会いを提供したい」と、ヘッドブリュワーの古川淳一さん。目指すのは「新しいけれど、すごくおいしい味づくり」だという。
「心に残るのは新しい味、飲み続けられるのは理屈抜きで“おいしい”味。味の捉え方は、それぞれの経験値でも異なりますが、幅広い層に“新しさ”と“おいしさ”の2つが両立する味をお届けしたいと、日々、ブリュワーたちと切磋琢磨しています」
 
今回、古川さんの案内で、「スプリングバレー フレッシュホップ〜最優秀圃場 IBUKI〜」の醸造の様子を見せてもらった。初回の仕込み量は15樽分、約300リットルだ。
醸造工程は、一般的なビールと同じ。主原料である大麦麦芽を粉砕し、50~70℃の温水に入れ、酵素の働きででんぷん質を糖に変え、麦汁を作る。ろ過した麦汁にホップを加え、煮沸。ビールに苦みや香りを加えると同時に、清澄を助け、雑菌の繁殖を抑えて腐敗を防ぐなど、重要な役割を担うのがホップだ。冷却した麦汁に酵母を加えると、酵母の働きで糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されるアルコール発酵が進む。出来上がったビールは、数週間の熟成を経て樽などの容器に詰められるという流れだ。

約5倍のフレッシュホップを使用したとびきり

では「スプリングバレー フレッシュホップ〜最優秀圃場 IBUKI〜」は、何が特別なのか。大きく違う点が2つある。一つは、収穫後すぐ、生のまま冷凍したホップを使用すること。長期間保存できるよう、乾燥させた通常のホップとは、香りのフレッシュさ、ボリュームが格段に違う。もう一つは、使用するホップの量。250リットルのビールに対し、約2キロ。日本でもっともポピュラーなピルスナータイプと比べると、なんと約5倍もの量が使われている。
 
「生のホップ(冷凍ホップ)を使ったビール造り自体が非常に珍しいのですが、〈スプリングバレーブルワリー東京〉では2015年の開業時から毎年、造り続けています。希少な日本産ホップならではの華やかな香りを、多くのビール好きに知っていただきたいから」(古川さん)

古川さんを筆頭に、3人のブリュワーが醸造
〈スプリングバレーブルワリー東京〉では、古川さんを筆頭に、5人のブリュワーが醸造を担当する。

「新しいおいしさ」を味わいに行こう

希少な日本産ホップの香りを生かすために、原材料は大麦麦芽と日本産ホップのみとシンプルに。アルコール度数は、飲みやすく飲み応えもある5.5%に設定している。毎年、「IBUKI」を使用しているが、生産者、畑と収穫年で微妙に香りや苦みが異なるのは、自然由来の素材ゆえ。それでも毎年、安定した味のクオリティを表現できるよう、成分分析などを含めたデータを蓄積し、ビール造りに役立てている。
 
国内のビール製造において、日本産ホップが使用される割合はわずかだが、「生ホップを使ったビール造り」を可能にするのは、日本産ホップにしかできない、大きな役割の一つだ。

ビール通がうなり、ビギナーも満足する「新しいおいしさ」、畑から造られるビールをぜひ味わいたい。