maya ongaku
あなたにとってエキゾとは?
バリ島のガムラン音楽を森の中で聴いた人が言っていた。反復を繰り返す打撃音が無数に重なり、それは森に臨在する動物たちの鳴き声や物音とミックスされる。次第に音楽と音との境界が曖昧になり、いずれ音の大きな渦が浮かび上がる。そんな不思議な体験がバリの島にはあるらしい。
エキゾチカは僕にとって、自然の中で生まれる生命の宿る音を非生物的な楽器で表現する取り組みである。僕たちのアルバムに入っている「接近」という曲は、僕らにとってのエキゾチカだと思う。
このプレイリストでは、この考えを踏まえ、オーソドックスなものから、さらにエキゾチカの境界を曖昧にすると思う曲を、メンバー全員で選ばせていただいた。
(文・maya ongaku 園田努)
打楽器奏者・宮坂遼太郎
あなたにとってエキゾとは?
海外にある日本食レストランの多くがちょっと間違った「和」のイメージに基づいた意匠で彩られているのを見て、率直にいいなと思った。
こんなの本当の日本じゃないよ!と言ってしまうこともできるだろうが、その人がその人なりにグッと来た「日本」が表現されているのだとしたら、それでもう全然良いのではないかという気がする(『もやしもん』のアメリカ編にもそんな話がありました)。
「エキゾチカ」はまさにそういった態度、解像度は粗いけど、その人なりにマジな異文化への憧れ、を許容するものなのではないだろうか(明らかに強い立場にある人間がこれを侵略的にやってしまうと文化盗用にあたると思われるが、これについて書くのはまたの機会に!)。
今回はエキゾチカという言葉が持つある種の適当さ、そしてそれを許容してくれるような音楽的ムードに注目しながら選曲した。
ヴィブラフォンが生む漠とした桃源郷的印象、そして漠としたエキゾ・イメージを背負う曲名“sushi”が呼応するM2、コンガという不思議な楽器が刻む出所不明のすばらしいビートが牽引するM6、「エキゾチカ」かどうかで言ったら絶対違うけど、エキゾ概念を考える練習問題にもなりそうな森高千里の超傑作M10など、全部面白くて好きな曲です。
DJ・PU$$Y好好
あなたにとってエキゾとは?
私は一度も中国へ行ったことはありませんが「中国の最先端クラブでスピンされているであろう曲」や、無免許ですが「万里の長城を目指すドライブミックス」を、これまで勘でコンパイルしてきました。
Mステで見た女子十二楽坊に衝撃を受けて20年。
今では女子十二楽坊を聴くと、まるで故郷を懐かしむような思いがふつふつと湧いてくるようになりました。
今回作ったプレイリストのテーマは「帰郷」。
私はひとりっ子ですが、田園に囲まれた故郷の中国へ帰ると年の離れた弟や妹が「お姉ちゃんが帰ってきた」と駆け寄ってきて、夜には親族が集まり、久しぶりの再会を喜ぶ姿を妄想しました。
そんなイマジナリー故郷への思いを、この楽曲群から感じてもらえれば幸いです。謝謝