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「シネマキャラバン」は地球を遊び尽くすクリエイターの集まり

主に移動映画館の形は取るけれど、映画が目的ではない。映画のような人生を送っている人たちが、エネルギーを交歓する場所として立ち上げた、シネマキャラバンの活動にリミットはない。代表のひとり、写真家の志津野雷さんに話を聞いた。

Photo: Rai Shizuno

キッカケはプロサーファーの中村竜やミュージシャンのユカリシャスらと、原発問題に揺れる青森県六ヶ所村に視察に行ったことに始まる。その時のアクションはウェーブメント ツアーと名付けられ、後に〈シネマキャラバン〉の活動へとつながる。

世の中の課題に対して批判や否定を繰り返すのではなく、ポジティブかつクリエイティブにエネルギーを使って、自分たちらしく社会に問いかけていく。活動を続けるうちに地元逗子につくった拠点が〈シネマアミーゴ〉という地域に根ざしたミニシアターだ。志津野雷さんに話を聞いた。

「僕たちは写真家やミュージシャン、デザイナーやサーファーに大工など、手に職を持った人間の集まりなんです。だから表現の場が欲しかった。みんなの表現したいことを全て吸収できるのが映画だったんですよ。全員のアトリエで、ギャラリーで、地域の人が集えて、それぞれが経済的に独立できることが前提条件だった。

でも、逗子に拠点を作ったものの、自分自身はじっとしていられないタチで、その半年後くらいには逗子市に海岸使用許可を申請していましたね(笑)。今の移動映画館の原型を模索し始め、それが逗子海岸映画祭になり、シネマキャラバンへと発展したんです。

〈シネマアミーゴ〉を立ち上げてから早13年。もう、人とのつながりでしかなくて。今までに数え切れないほどのイベントをやってきましたけれど、自分たちのことを映画屋だとは思っていないんですよ。だから新型コロナウイルスで人が集まりにくい状況になったら、柔軟性を持って今できることを模索する。2022年6月にはドイツのドクメンタ15という世界的アートイベントに『栗林 隆とシネマキャラバン』として招待されたので、行ってきますよ」

黒板に書かれた相関図
ドクメンタ15への道を芸術家の栗林 隆さんが黒板に書き出し、志津野さんが撮影した作品。

白川郷

志津野さんが写真家として取材で訪れた地で、突然イベントを打診される。1ヵ月近く廃校に滞在しながら、地元の資源や文化を最大限活かしながら、地域還元型のイベントを成功させる。当時の行政担当は今ではシネマキャラバンのメンバーだ。

バスク

ある日、〈シネマアミーゴ〉を訪れたバスク在住日本人との出会いをきっかけに、「逗子とバスク勝手に姉妹都市」構想をぶち上げる。スペイン大使館のサポートのもと、交流は始まり、実際にイベントも開催。音楽、料理、映画など交流の輪は広がる。

Play with the Earth

映像作家としても活躍する志津野さんが、シネマキャラバンの活動の根底に流れる「Play with the Earth」というコンセプトを映像化。逗子海岸映画祭をはじめ、各所で上映イベントが開かれた。