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石若駿が盟友ermhoi(えるむほい)の新作を聴いて思うこと

昨年末にはmillennium parade のメンバーとして紅白歌合戦への出演も果たしたトラックメーカー、シンガーのermhoi。彼女を昔からよく知るドラマーの石若駿は彼女の新作をどう聴いたのだろう。

Text: Hikaru Hanaki

無機質さと人間らしさが、同居する音楽

はじめは知り合いづてに「同年代で面白い音楽やってる人がいるよ」って教えてもらったんです。2015年頃ですね。当時、同世代で彼女みたいにエレクトロニクスと自分の声を合わせた音楽を作っている人って僕の周りにはいなかったんです。

一緒に作品を作るようになってからもいつも彼女の視野の広さにびっくりさせられています。どんな音楽に対してもオープンでポジティブなところが彼女の素晴らしいところですね。

新作もすごく良かった。彼女の音楽ってビートが特徴的で、音色はクールに無機質的に感じる部分もあるけれど、すごく血が通った一つの生き物のように感じるんですよ。そのうえで歌も本当に緻密に計算して表現されているなと思いました。

彼女の音楽には「気づかせる力」があると思うんです。日常の中のふとした瞬間にハッとさせたり、昔を思い出させたり、未来を想像させたり、立ち止まって考えさせたりっていうパワーがある。

それって僕が感じる彼女のパーソナリティとも共通していて、色んな音楽がどんな時代に生まれて、それは社会に対してこういうスタンスでってことにも詳しいんですよ。音楽と生活とそれを取り巻く世の中が全部繋がっているんです。

コロナ禍でも、僕の身の回りで一番社会のことや世界のことを考えて発信していたのは彼女だったと思う。アルバムにもたとえ直接的な表現じゃなくても、世界をちょっとでも良くしていこうっていうメッセージが込められている気がします。聴く人にもそれに「気づいて」もらえれば嬉しいですよね。

ermhoiを知るための3作品。