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これから買いたい人へ。イームズのヴィンテージシェルチェア購入時の5つのチェックポイントをご紹介

ミッドセンチュリーデザインを代表する家具といえば、イームズのシェルチェアだろう。これから買いたい!という人のために、選び方や見分け方を紹介。自分だけの一脚を。

photo: Kaori Ouchi / text: Teruaki Ishinoda / special thanks: 上野中央通り接骨院, Shigeru Umezawa

Color

豊富なカラバリから
目当ての色を見つける

1950年代の発売以来、時代のニーズに合わせシェルチェアも多彩なカラー展開が行われている。上で紹介している36色以外にも存在し、正確な数は不明だ。エレファントハイドグレー、パーチメント、シーフォームグリーン、レッドオレンジ、レモンイエロー、グレージュなど、初期に作られた色は現在も人気が高い。

60年代にはスタンダードカラーとして11色、さらに200脚以上オーダーすると選べる特別な16色、計27色ものカラー展開で提供していた。現行品にはない、ヴィンテージシェルならではのカラーを楽しめるのも魅力の一つだ。

Leg

生活スタイルに合わせ、
最適な脚部を

ベース(脚部)のバリエーションも豊富なシェルチェア。人気の高いモデルがこの5種類だ。ベースにはヴィンテージとレプリカ製が存在するので、用途や目的に合わせて選びたい。

リビングで使用する人にオススメなのが、ゆらゆらと気持ち良い座り心地の(1)ロッカーベース。また「あやとり」の意味を持つ(2)キャッツクレードルもゆったりとした座り心地を生み出す秀逸なベース。ダイニングやデスクで使用する人にはスチールロッドを溶接して作られた(3)エッフェルや木とスチールを組み合わせた(4)ダウエル、シンプルな(5)Xベースがオススメ。

Glides

ヴィンテージレッグの状態は
グライズでチェック

椅子の安定性を左右するグライズもアップデートされ微妙なディテールの違いが存在する。エッフェルベースは3種類のグライズがあり、初期の1stモデルは(1)。2ndモデルはグライズに可動性を持たせ、より不安定な場所で使用できるよう改良された(2)へ。3rdモデルはプラスチック製へ変更し、(3)のように改良されている。

スチール製のXベースは、ブーツグライドといわれるゴムとステンレスからなる(4)のタイプ。Xベースの改良版として作られたHベースは、素材が無垢の金属から中空パイプとなり、プラスチック製の(5)のグライズとなった。

Logo Design

裏面のロゴを見れば
おおよその製造年がわかる

製造年が古いほど、ヴィンテージとしての価値は高くなる。ファーストと呼ばれる1950年代初頭のシェルには、(1)のような〈ゼニスプラスチック〉と〈ハーマンミラー〉のダブルネームのステッカーが付いていた。

その後、(2)の横型もしくは(3)のメダルタイプのプレートに移行。シールやプレートは紛失が多かったため、セカンドと呼ばれる50年代後期に生産されたシェルからは、(4)のようにロゴが座面裏にエンボス加工されるようになる。60年代後半から生産されたサードモデルのシェルには、楕円の枠にロゴと社名が入り(5)のように変更された。

製造年だけじゃない、
裏面の刻印から製造工場がわかる⁉

シェルの裏面にはロゴと別に、写真のような小さなマークを見ることができる。製品クオリティ向上のため、複数のサプライヤーと協力し改良が繰り返されてきたからだ。1950年代に製造されたシェルは、〈ゼニスプラスチック〉以外に〈シンシナティミリングマシン〉(C)などでも作られていた。(S)は60年代後期に作られた〈サミット〉のロゴ。

60年代後期に作られた〈サミット〉のロゴ、〈シンシナティミリングマシン〉のロゴ

1st Shell

貴重な初期のシェルを
見分けるポイント

初期の〈ゼニスプラスチック〉製のシェルは、強度を保つためにファイバーグラス製のロープが椅子のエッジに埋め込まれ、ファイバーの量が多いのが特徴。この“ロープエッジ”は、技術革新によりシェルの強度が改善された後期のモデルにはない。また、シェルとベースをつなぐパーツに用いられるゴム製のショックマウントも、初期は“ラージマウント”と呼ばれ大きさが異なる。