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シベリアン・ハスキーと猫2匹。ユニークであたたかな家族の形

犬の深い愛情は種族の違いも優に飛び越える。飼い主には良き相棒であり、猫にとっては共に育った姉であり世話焼きの母であり。大阪に暮らすかもしか家には、シベリアン・ハスキーを中心としたユニークな家族の形があった。

photo: Masanori Kaneshita / text: Emi Fukushima

穏やかな昼下がり、ゆったりと寝そべりうとうとするのはメスのシベリアン・ハスキー、ユキ。その傍らには、茶トラのレンとキジトラのサンという2匹のオス猫がピッタリ身を寄せ、ユキの耳を舐めたり、猫同士でジャレ合ったりしている。かもしかさんの自宅で毎日のように繰り広げられる、なんとも平和な光景だ。

「レンとサンは生まれて間もない頃からユキと一緒に暮らしてきました。互いに別の種族だとは夢にも思っていないんじゃないでしょうか(笑)」

かもしかさんが最初に自宅に迎え入れたのはユキ。ハスキー犬との暮らしは、かねての念願だった。
「オオカミのようにキリッとした顔つきながらも、人懐っこいハスキー犬がもともと好きで憧れていました。偶然訪れたペットショップで、生後4ヵ月ほどのハスキーの仔犬の里親募集の張り紙を見つけたのが2017年のことです。これも縁だと意を決して引き取ることにしました」

もともと天真爛漫でおてんばな性格のユキ。引き取ったばかりの頃は、甘噛みをしてジャレてきたり、いたずらしたり、脱走したりとやんちゃ真っ盛りだった。だが仔犬といえど狩猟本能を持つ大型犬。当時から体重は7kgほどあり、あり余る体力を落ち着かせるのにひと苦労だった。

「遊びながら、手によく傷を作っていました(笑)」とのことだが、いつしかかもしかさんにとってユキは相棒のような存在になっていった。

シベリアン・ハスキーのユキ、茶トラのレン
真っすぐな眼差しで互いを見つめ合うユキとサン。時折こうしてアイコンタクトをとる。

「動物病院で働いているので、職場に連れていくこともありますね。仕事中は留守番をしてもらって、昼休みにはドッグランで全力で遊びます。あと休暇には車で旅行に行くこともあり、北は北海道から南は長崎まで行きました。ユキと過ごすようになってから、インドア派だった僕も外に出る機会が増えましたね。長旅や車中泊もノリノリで喜んでくれます」

当初はユキとふたり暮らしをしていたかもしかさんだったが、事情により母が暮らす実家に戻ることに。実家にいる数匹の猫たちと共に暮らすようになるのだが、うまく打ち解けられるか、不安はついて回った。

「ユキが先住猫たちを襲ってしまわないかが心配で、過ごす空間を分けたり、部屋の中でもリードをつないだりしながら、共同生活が送れるよう少しずつ慣らしていきました」

ユキの母性を開花させた2匹の仔猫との出会い

やんちゃだったユキにとって転機となったのは2021年のこと。2匹の仔猫との出会いだった。まず対面したのがレン。生後2ヵ月ほどの頃、近所の駐車場で衰弱しているところを、隣の家に住むかもしかさんの姪が保護したのがきっかけだ。

「当時は近所の野良猫たちの間で猫風邪が流行っていて、その仔猫も罹患して目が開けられずに動けなくなっていました。ただ姪の父親が猫アレルギーだったこともあり、彼女のもとでは飼うことができず、我が家で引き取ることになったんです」

仔猫は「レン」と名づけられ、かもしか家で無事回復。もともと臆病な性格のため、最初はユキや先住猫たちを怖がっていたというが、最初に心を開いたのはユキだった。

「ユキはすでに先住猫とも接触があったし、動物病院で仔猫と触れ合った経験もあったからか、ちょっかいを出したり面倒を見たりと自然と歩み寄っていきました。レンも次第にユキに心を許して甘えるようになり、姉弟のような関係になっていきましたね。ただ、“ビビリ”であることは今も変わりません。家族以外の人が家に訪れると、大慌てで隠れて出てこなくなってしまいます(笑)」

そしてその数ヵ月後に保護されたのがサンだ。近所の駐車場で生後1週間ほどで親猫に置き去りにされたところを発見。こちらも紆余曲折を経てかもしか家に迎え入れることに。

「サンが来てからは特に、ユキの母性にスイッチが入りました。特に仔猫だった頃は、お尻を舐めて排泄の手助けをしてあげたり、サンの方もユキのお乳を探して“ふみふみ”したり。最近は、好奇心旺盛で勝ち気なサンに対して、犬猫社会の掟を教えているのか、叱るようなそぶりも見られます。母親代わりになってお世話をしてくれていますね」

シベリアン・ハスキーのユキ、茶トラのレン
庭を望む窓辺が3匹のお気に入り。見慣れぬカメラを恐れたレンは残念ながら逃亡中。

喧嘩をしても自然と仲直り。3匹は互いに心を許し合う

「気づいた頃には自然と添い寝をするようになっていた」という3匹。特に末っ子で甘えん坊のサンは、1歳になった今でもゴロゴロと喉を鳴らしながら何かというとユキのもとへ向かう。ユキをソファやベッド代わりにしてくつろいだり、雨の日には窓の外を眺めるユキの隣に並んで、しとしと降り注ぐ雨を一緒に眺めたりする。

一方でレンは、サンほどべったりではないまでも、気まぐれにユキのもとを訪れては、やっぱり添い寝を始める。そして夜になれば、ベッドで川の字になって就寝。3匹はとにかく安心しきった関係なのだ。

「猫たちは気が立っているユキに手荒くあしらわれても気にしないんです。普通の猫なら大人のハスキー犬の迫力に圧倒されて寄り付かなくなると思いますが、彼らは時間を置いてまたひょっこり姿を見せ合い自然と仲直り。そしてまたくっつく。そんな光景はやっぱり癒やされますね」

シベリアン・ハスキーのユキ、茶トラのレン、キジトラ
サンはユキをハグしながら添い寝するのがお決まり。レンは普段はお腹に乗るのが好き。