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ラッパー・dodoが考える「恋の、答え。」

“弱さ”をラップし大きな共感を呼ぶ、 25歳のラッパーdodoが考える恋愛とは。

Photo: Rakutaro / Text: Jin Otabe

クリクリとした小動物のような目をした華奢な体躯の彼こそが、川崎を拠点にラッパー、トラックメーカーとして活動するdodoだ。マッチョでサグな世間一般がイメージするラッパー像からはかけ離れた、「可愛らしさ」が、彼にはある。

「“可愛い”っていうのは正直、意識してますね。やっぱり無理して強がって、虚勢張ってるよりも、可愛がられた方がモテるし、曲も聴いてもらえますから、生きやすいんです(笑)。それと、そう思えること自体が幸せなのかもしれないですけど、僕の中には“男らしさ”って概念が一切なくて。僕らの世代は、“無理して男らしくしても、モテないでしょ?”って、思っている気がします」

2019年にリリースした楽曲「im」が、TikTokを中心に大ヒット。恋愛を描いた彼の楽曲は、実在する片思いの相手へ向けた、ラブレターのようなものなのだそう。

恋愛を語るラッパーdodo

「恋は一番のインスピレーション源。僕は特定の女の子に振り向いてほしくて、恋愛ソングを書くんですよ。一種の“祈り”みたいなもの。でも、ヒップホップはリアルな物事を歌うものだと僕は思っているから、そこはブレてないと思う」

ラップミュージックやヒップホップは過剰なセルフボースト(自分自身を誇ること)が描かれる傾向のあるジャンルだが、dodoの楽曲はむしろ、自身の「弱さ」や赤裸々なエモーションをさらけ出すことで、鬱屈とした今という時代を鋭く切り取っていく。

「そもそもヒップホップのサグい自慢には全然興味がないんですよね。“頑張って、成功した!”みたいな要素に憧れていて。活動を始めた初期の頃に、当時出した曲がきっかけでネットで炎上しちゃったことがあるんですけど。その時に言葉の影響力について考えたんです。いいバイブスを持った言霊を放たないとダメなんだなって。

恋愛においても、相手には“ここ直した方がいいよ?”とか言うのは違うなって。それはただの僕の“わがまま”ですからね」

弱い自分自身を直視し、心の底から肯定したうえで表現へと昇華する。それは決して簡単なことではないはず。dodoの生きざまそのものが表れているからこそ、彼の楽曲を聴くと背中を押されるのかもしれない。

「ヒップホップって普通に話したら白い目で見られたりするようなことでも、曲にすれば“生きざま”として認めてもらえるジャンルなので。人生はいろんなことがあるけど、結局は全部思い出に昇華されていくから。たくさん恋愛して、いい思い出を残していきたいですよね(笑)」

恋愛を語るラッパーdodo

dodoの「恋の、答え。」

「初恋をしてる時に聴いたマライア・キャリーの『Touch My Body』」。