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医師に聞いた、愛の映画。「愛って、医師たちもいつも向き合っている」

医療の現場で日々さまざまな命と向き合う医師たち。彼らがヒューマンドラマや生死に関わる映画をどう観ているのかを調査した。

photo: Shu Yamamoto / text: Ryota Mukai

愛の映画世論調査〜命と向き合う医師〜

date:2023年10月7日(土)PM4:00
place:都内某所

愛って、医師たちもいつも向き合っている

S

老老介護を描いた『愛、アムール』は、医師が観てもリアルな描写が多い愛の映画だと思う。

M

精神科病院が舞台の『カッコーの巣の上で』もリアリティあるよ。精神障害についての明確なエビデンスがない時代を描いた作品。『風立ちぬ』も夫婦愛を描いているけど、考えさせられたな。

T

どんなことを?

M

主人公の妻が結核で亡くなってしまうんだよね。戦中から戦後すぐは、戦争や病気で亡くなる人も多かったし、死がもっと身近だったんだろうな、と思って。

S

病院にいると命が終わる瞬間にも立ち会うし、いろんな家族の形を見るから、自分や家族の生き方とか、倫理について考える機会が増えるよね。

Y

『ガタカ』はその点でかなり興味深い映画だと思う。遺伝子操作が当たり前の近未来では、遺伝子の優劣で人生の方向性がすべて決まっていく、みたいな。

M

医師になると人権とか幸せについても考えることも多いよね。

S

家族に愛されるのが一番幸せ?とか。

M

うん。でも実際は生まれた後にNICU(新生児集中治療室)で母子分離した時も、医療スタッフが積極的に接触すると成長が速くなる事例があるんだよ。『ALWAYS 三丁目の夕日』は、まさに実の子じゃない小学生を近所の人と助け合って育てる話。劇中に登場する医師が家族を亡くしていて。その寂しさを抱えつつ、仕事を通じて愛を与えたり、もらったりしている描写もすごくいいし。

S

医師目線で観て学びのある映画って意外と多いのかもね。突っ込みたくなる描写も多い『コード・ブルー』シリーズを観て医師になった人もいるし(笑)。

T

僕は仕事の時以外は頭を空っぽにしたいから、愛の映画でも『スチュアート・リトル』のような作品が浮かんだな。

K

医師ってこだわりがない人が多いから『君の名は。』みたいな話題作の観賞率も高いかも。ここにいる全員観てるしね!

小児科医のMさん、膠原病内科医のYさん、消化器内科医のTさん、消化器内科医のSさん、循環器内科医のKさん
左から、循環器内科医のKさん、消化器内科医のSさん、消化器内科医のTさん、膠原病(こうげんびょう)内科医のYさん、小児科医のMさん、。大学・大学院を出た後に医師としての基礎知識や手技を確実に身につけるため、2年間行われる初期研修の同僚だった5人。昼夜を問わず忙しい医師の仕事の合間を縫ってインタビューに答えてくれた。

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