蒸留所をよーく知れば
ちょっとお酒がおいしくなる
紅櫻蒸溜所(北海道)
Q
蒸留所を造ったきっかけは?
A
ニュージーランドで暮らした経験。面積は日本の7割程度だけど人口は500万人ほどの国で、なにより生活が豊か。地元の北海道も同じようになれないかと思って。
アルコール度数が高い蒸留酒は遠くに運べるから、地方都市が抱えがちな物流上のデメリットも回避できますしね。
Q
お酒造りにおける、この土地の魅力は?
A
蒸留所がある〈紅櫻公園〉は、実は公有ではなくすべて会社の土地なんです。だからすぐ近くで自由にボタニカルを栽培・採取できる、ということが嬉しいポイント。
札幌市内でありながら、裏手には広大な自然が広がっているので湧き出る地下水もきれいでおいしいんです。
Q
お酒を造るうえで、気をつけていることは?
A
“旨味”を大切にしたいと思っています。この味覚は日本独自のもので、十分世界にも通用するはず。実際、ジンで“旨味”を追求しているものはないし、それを北海道産のボタニカルで表現できたら。
また、北海道にないユズやレモンなどの柑橘類は使わないと決めています。
越後薬草(新潟県)
Q
蒸留所を造ったきっかけは?
A
たまたまなんです。というのも、弊社では酵素飲料を作っています。その酵素を抽出する装置として蒸留器を設置したんです。でもせっかくだから、大好きなお酒も造ってみようと。
ちなみにジンを造ったのは、某探偵マンガに登場する「ジン」というキャラが推しだから、です。
Q
お酒造りにおける、この土地の魅力は?
A
蒸留器がある上越市は、年間を通じて湿度が高く、微生物の活動も活発で「発酵のまち」とも呼ばれています。だから、いいお酒が造りやすい。
新潟の日本酒やワインが有名なのも、これが理由です。蒸留する原酒には、植物を発酵させてできたアルコールを使用しています。
Q
目標としているお酒は?
A
「モンキー47」。その名の通り、47種のボタニカルを加えた香り高いジンですが、どの香りも喧嘩せず、調和しているのが面白い。
ある一つの香りに特化したジンもおいしいけれど、80以上のボタニカルを使うYASOにとって、このバランスこそ目標の一つです。
mitosaya(千葉県)
Q
蒸留所を造ったきっかけは?
A
果物や植物のおいしさを凝縮した液体を造ることができる、蒸留という技術に感動して。候補地を探す中で閉園し使い手を探している薬草園に出会いました。
30年の時間をかけて育った植物、素晴らしい生産者との出会いが、この地に蒸留所を造るきっかけになりました。
Q
注目している蒸留所は?
A
Aymonier。フランスの高地、スイスとの国境の町で家族で営むアブサン蒸留所です。
小さなショップもあってお酒以外にも、農場で生産した有機野菜や果物、ジャム、紅茶などの加工品も販売しています。その土地、その人の技術があってできるものに惹かれます。
Q
これから造りたいお酒は?
A
気になっているのは、乳糖のアルコール発酵。2021年9月に羊を2頭飼い始めて、興味が湧いてきたんです。
モンゴルでは伝統的に馬の乳で造る馬乳酒があり、イギリスでは「ブラック・カウ・ウォッカ」というお酒もあります。実は千葉は酪農が盛んだったりもします。
中津川蒸留所(岐阜県)
Q
蒸留所を造ったきっかけは?
A
なりゆきみたいなところがあって。チコリの種イモを焼酎にしたらどうか?と考えたのがきっかけになります。
メーカーにお願いして試しに造ってもらった焼酎が、酒蔵も認めるほどおいしくて。それじゃあ、と社内で私一人の部署を立ち上げて蒸留所を造りました。
Q
目標としているお酒は?
A
フィンランドのジン「キュロ」。目が覚めるほど強烈なパクチーの香りに驚きました。クラフトジンにできることの幅広さを感じさせられましたね。
強烈な個性を持つお酒は面白い。そういう意味では、アイラモルトウイスキーが持つ独自のピートの風味も大好きです。
Q
ラベルのデザインのこだわりは?
A
中央に描かれているのが、ボトルで使っている主なボタニカルです。最上段から太陽の光が降り注ぎ、果実から溢れる果汁が中津川を潤している、というイメージを地元の友人に伝えてデザインしてもらいました。
お酒造りは自然の恵みのおかげであることを象徴しています。
瑞穂酒造(沖縄県)
Q
蒸留所を造ったきっかけは?
A
創業した1848年当時、琉球王国の中心地である首里城近くに拠点があったから。泡盛は日本最古のハードリカーで、王に献上するロイヤルスピリッツでした。
交易品としても重宝されたため、王国の徹底管理下で製造されるようになりました。だから首里に蔵元が誕生したのです。
Q
注目している蒸留所は?
A
秩父蒸溜所。東京農業大学の醸造科の先輩でもある、肥土伊知郎さんには今でもお世話になっています。
なかでも、蒸留所の前身とも呼べる羽生蒸溜所が残した古酒をブレンドした「ダブルディスティラリーズ」は、歴史的な物語が感じられてとても印象に残っています。
Q
これから造りたいお酒は?
A
沖縄の離島8島で育つ黒糖を使ったラム。現在進行中のプロジェクトで、2021年8月には伊平屋島黒糖のラムができました。
製造の過程でおもてなしの心を表す、この島独自の方言「いへやじゅうてー」を私自身、初めて知りました。こうした島の魅力を伝えるお酒を造りたいです。