古道具の棚や木箱に飾る。大切なのは“余白”を持たせること
「鉱物と古道具は相性がいいと思うんです。僕は朽ちた木の箱やびた鉄枠のガラスケースに飾るのが好き。コツは詰め込みすぎず、余白を持たせることでしょうか」
現代アーティストの田口佳弥さんが暮らす自宅兼アトリエを訪ねると、棚の上や机の片隅など至るところに鉱物が置かれている。まるで植物好きが部屋中にグリーンを飾るように。
「そう、植物と同じです。“何でこうなったの?”という予測不能な色や形を眺めたり、触って質感を楽しんだり。だからケースに入れずに飾るのが好きで、埃がたまるのを防ぐためにもディスプレイは頻繁に変えています。気分や季節に合わせて場所を移動することもあれば、“今夜のお酒にはコレが似合う”って、音楽を選ぶように石を飾る日もある」
魚の形のカッパー(自然銅)を古道具の銅鉢にポツンと置いて、金魚鉢に「見立て」る飾り方も印象的だ。
「“見立て”を取り入れると、自分との距離が近くなるし、親しみが湧く。石が生活の中に溶け込むんです」
そういう気軽な飾り方を広めたくて鉱物商〈鉱物冰〉も始め、セレクトした鉱物とともに自作の飾り箱や古道具も提案する。
「贈り物として鉱物を選ぶ。そのくらい身近になるといいですよね」