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杉本真樹が解説。明日がわかる「医療」の最新時事用語事典

ステップアップを成し遂げるためには、スキルを身につけることと同じように、新しい知識を手に入れることも大切。そこで、医師、医学博士、Holoeyes株式会社CEO・杉本真樹さんに、ちょっと先の未来を見据えた「医療」における最新キーワードを解説してもらいました。新たな学びは、新たな言葉を知ることから。リスキリングの武器となる、最新時事用語集です。

illustration: Kei Hagiwara / text&edit: Ichico Enomoto

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医療現場のデジタル革新が進み、遠隔ロボット手術も現実になりつつあるが、現在のデジタル化は患者が置き去りになりがち。今後はもっと患者が主体性を持つという方向になっていくと考えられる。

XR医用画像

VR、AR、MRをまとめてXRと呼び、医療の現場でも使われるようになってきている。患者の内臓の画像をXRで見ながら手術のシミュレーションも可能。

今後、スペーシャル・コンピューティングが取り入れられ、現実空間でデジタルデータにアクセスできるので、患者も医療へ参加しやすくなる。医師と共に主体的に治療を考える時代に。

XR医用画像
空間に内臓の画像が浮いた状態で見ることができる。シミュレーションもでき、手術中に使うことも。
画像提供:Holoeyes

メタバース診療

遠くにいる医師たちのリアルアバターがメタバース空間でディスカッションすることも実現している。今後は専門医がいない地方でも離れた場所にいる医師の診察を受けられるようになる。さらに生成系AIも遠隔診療に活用され、過去のエビデンスから患者個別の相談や診察、説明、投薬などに活用されていくだろう。

メタバース空間でリハビリをしている様子
実際にメタバース空間でリハビリをしている様子。アバターで動きをリアルタイムに再現している。
画像提供:Holoeyes

遠隔ロボット支援手術

ロボット支援手術はこれまでアメリカの「ダヴィンチ」が市場をほぼ独占していたが、最近、国産の手術支援ロボット「hinotori」や「Saroa」が医療機器として市販化され、徐々に使われるようになってきた。

従来は遠隔といっても数メートルしか離れていない場所だったが、今後は離れた地域や離島などでの遠隔ロボット手術も可能になるはずだ。

SaMD

Software as a Medical Deviceの略で、医療機器プログラムとも訳される。従来、日本では機械とソフトウェアが一体で医療機器として認められていたが、2014年の薬機法改正によりソフトウェア単体でも医療機器と認められるように。

例えばHoloeyesでは、患者のCTやMRI画像のデータからクラウドを経由して5分後にはXRで見ることができるサービスを医療機器として販売している。

起業医

診療行為だけでなくビジネスで医療の課題を解決したいと、医師のキャリアを持ちながら起業する人や、最初から起業家を目指して医学部に入る若い人も増えている。現場の課題をいかに解決するかは、現場にいる医師や医療従事者の経験や知識が不可欠であり、起業医の活躍が期待される。

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